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草下さんの両親は、事件の顛末を教えてくれた。先生の奥さんは当時、奔放な性格で遊び回っていたらしい。それがつらくて先生は不倫に及び、事件に至ってしまった。
先生の奥さんは「自分にも原因があった」と悩んで、離婚をしなかった。ずっと面会に通ったし、被害者に対し賠償金も払い続けた。そして出所してからも、一緒に暮らしているという。

“人と交流する”ことを心がけている

「その話を聞いてすごいさっぱりした気持ちになりました。事件の後にも、人生は続いてたんだなって。顛末を聞いた後には、先生の起こした事件は『自分が道を踏み外したときの免罪符』にはできなくなりました。
以来、犯罪をセンセーショナルなものとしてだけ書いて終わるのではなく、“人間”を掘っていきたいと思ってます。事件が終わっても人は生き続けますからね。取材するときもいつも“人と交流する”ことを心がけています」。
取材対象者の中には刑務所に入ってしまう人も多い。そういう人にはなるべく手紙を書いたり、差し入れをしたりするようにしているという。四国の刑務所まで面会に行ったこともあった。忙しい日常の合間にそのようなことをするのは大変だ。
「確かに大変ですけど、ただただドライに金になる情報だけを取りに行ったら、相手もいい気持ちはしませんよね。
どんな取材対象者に対しても“人として付き合う” “友達として会う”というのはとても大事なんですよ。どんなに怖い取材対象者でも一皮むけば、ただの人間ですからね」。
草下さんは血も涙もないアンダーグラウンドの世界を取材しているからこそ、誰よりも友情を大事にし、自らは悪事をしないことを強く心がけていると感じた。
これからも、僕らが普通に生きていては目に映らない、“裏”の世界を取材し描いてほしいと思った。
 
村田 らむ:ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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記事提供:東洋経済ONLINE

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