IoTなんて言葉も浸透し、デジタル化が隆盛をきわめる昨今。ビジネスでもプライベートでも、文房具を使う機会は少なくなった気がする。だが、ストーリー性があったり、デザインが良かったりするモノには無性に惹かれるのもまた事実。
そんな二律背反なステーショナリー好きの心をくすぐるニューカマーが現れた。それが「コクヨ」から派生して生まれた接着・粘着用品の新ブランド「GLOO(グルー)」だ。
「コクヨ」と世界的デザイナー・佐藤ナオキ氏がタッグを組んで作られた「グルー」。日々の生活や仕事のなかで単なる作業に陥りがちな“貼る”という行為を再定義し、これまでにない機能的かつ美しいアイテムを追求している。
その皮切りとなる4つのデビュー作がこちら。どれも「そうそう! たしかにそれ便利!」と膝を叩きたくなるものばかり。
紙の角までしっかり塗れる、四角い形をしたスティックのり。片手で簡単に開けられるよう配慮されたデザインになっている。デスクから転がって落ちにくいというメリットも。
ヘッドを異なる2つの角度で固定することで、2通りの持ち方ができるテープのり。ヘッドがくるりと回って本体に収まることで、コンパクトにしまっておける。
塗った場所がわかりやすいように赤くなり、約15分経つと光に反応して色が消える瞬間接着剤。作業の合間は立てて置くことができる形状や、二重構造で密閉性の高いキャップなど、ディテールも気が利いている。
底面に軟質シリコン樹脂製の吸盤をあしらったテープカッター。これにより本体は軽量ながら、片手でもテープが切れる。垂直に持ち上げると簡単に剥離するため、取り回しも楽ちんだ。
「グルー」の言葉を借りれば、“貼る”とは何かと何かをくっつけ、新しい何かを作り出す創造的な行為。いわれてみると、たとえばお気に入りの写真を貼るときや、相手を想って手紙の封をするときなど、“貼る”ことはポジティブなニュアンスに満ちている。
そんなことを考えながら、研ぎ澄まされた「グルー」のシンプルかつミニマルなデザインを眺める。うん、これはとりあえず手元に置いておきたくなるな。
[問い合わせ]コクヨ電話番号:0120-201-594www.kokuyo-st.co.jp中山秀明=文