連載「健康で文化的な、真夜中の白めし」
家族が寝静まり、日付が変わる頃。妻が炊いてくれたごはんが、仕事帰りのからだに沁みる。そんなささやかな幸せをさらに増幅させてくれるのが「白めしのおとも」。欲張りな男たちの欲望を刺激する、お取り寄せもできる逸品をどうぞ。
いよいよ平成最後の年越しを迎える。“最後”という言葉には妙な魔力があるもので、連日の酒と宴会グルメに溺れ、幸せながら弱り気味の方も多いだろう。そこで、不摂生な体に染み入り、新年に相応しい“おとも”をご紹介。今回取り上げるのは、味・縁起ともに申し分のない「特上しそ昆布」だ。
油紙に紙紐という和のパッケージでこの逸品を送り出すのは、広島の佃煮屋「尾道佃松」。終戦の翌年に創業された、70年以上の歴史をもつ老舗である。北海道の釧路で採れた厚葉昆布を使用し、創業以来継ぎ足しているという秘伝のタレでじっくりと炊き上げられた姿はなんとも美しい。
昆布と言えば、縁起の良い物としてお馴染みだが、その歴史は長い。昆布が歴史上で登場するのは、奈良時代の歴史書『続日本紀』。蝦夷地から朝廷に献上されたとの記録がある。その後、室町時代には武士が出陣するときには欠かせない代物に。「一に打ちあわび、二に勝ち栗、三に昆布」、つまりは“打ち勝ち喜ぶ”という言葉に掛けた縁起物になったのだ。
気品ある佇まいの「特上しそ昆布」は、まさにそんな縁起の良さを体現するような一品。さらに特徴的なのは、その“長さ”。細切りされた昆布は、長いものは20cmほどに上り、長寿をも連想させる。
長い昆布であたたかい白めしをクルッと巻き、口へ頬張る。一口でわかるのは、その昆布の上質さだ。厚切りの昆布は食感がよく、味を引き締めるシソの香りも素晴らしい。後味が甘ったるくないのも、弱ったオッサンの胃にはうれしいところ。ヘルシーなのも罪悪感を和らげてくれる。
平成最後の年が始まる。後味スッキリ、さらに縁起の良さも相まれば、深夜ごはんの贅沢にこんな逸品を選んでみるのも悪くないのではなかろうか?
[問い合わせ先] 尾道佃松 住所:広島県尾道市東尾道15番地12 電話番号:0120‐37-5283http://www.2kuma2.com/