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2018.12.21

ライフ

職場の20代が「会社の将来が見えない」と不安気

職場の20代がわからない Vol.27
30代~40代のビジネスパーソンは「個を活かしつつ、組織を強くする」というマネジメント課題に直面している。ときに先輩から梯子を外され、ときに同期から出し抜かれ、ときに経営陣の方針に戸惑わされる。しかし、最も自分の力不足を感じるのは、「後輩の育成」ではないでしょうか。20代の会社の若造に「もう辞めます」「やる気がでません」「僕らの世代とは違うんで」と言われてしまったときに、あなたならどうしますか。ものわかりのいい上司になりたいのに、なれない。そんなジレンマを解消するために、人材と組織のプロフェッショナルである曽和利光氏から「40代が20代と付き合うときの心得」を教えてもらいます。
「職場の20代がわからない」を最初から読む

 

就活で「軸がない」ことを脅される

現在の20代はほぼすべての人が、就職活動時に「あなたは将来どんなことをやりたいのか」「あなたのキャリアデザインの方向性は?」「あなたの人生の軸は何ですか?」と尋ねられています。
面接官の方は軽い気持ちで聞いている(もっと言うと初対面の人の人となりを知るのに適した質問がわからないのでとりあえずそんな質問をしている)のですが、聞かれたほうはきちんと答えないと不合格になってしまうので、「今のところ、これといった軸はありません」「まだ、わかりません」というのが本音のところ、「私は将来◯◯になりたいので、20代のうちは□□をやって△△という力を身に付けたいと思います」などと無理やり脅されて言わされているのが現状です。
 

自己洗脳にかかってしまう若者

これだけなら本音と建て前が跋扈する大人の世界に入るイニシエーション(言い換えれば「茶番」)と笑い飛ばすこともできるのですが、深刻なのは、本当は根っこの生えていない自分の発言に、だんだん囚われてしまう人が多いことです。
「俺は将来起業家になる」「商品開発の仕事がしたい」「外資系企業で働きたい」「グローバルな仕事がしたい」、目標を持つことは大いに結構なのですが、すべて「これしかやりたくない」となるといろいろ問題が出てきます。
というのも、20代ですから、一部の特殊な早熟な人を除けばまだまだ修行の身。「やりたくてもできない」ことも多いでしょうし(もちろんそれでも本当にやりたければやればいいのですが)、今思っていることよりも向いていることが見つかるかもしれないチャンスにあふれているのに、それに目をつぶってしまうことにもなります。
 

本当は試行錯誤しながら漂流すれば良い20代

たかだか四半世紀に過ぎませんが、私のキャリア経験からすれば、20代の若者の中で「どうしてもこれでなければならない」と思うほどの「やりたいこと」がある人は多くはありません。2割もいれば上等ではないでしょうか。
むしろ、「自分が何をしたいかがわからない」という悩みがほとんどです。しかし、それは問題ではありません。人事なら誰でも知っている有名なクランボルツの「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)によれば、あまり自分のキャリアを決めつけずにオープンマインドでいて、偶然に起こったチャンスを逃さないほうが結果としてイケてるキャリアを獲得しているというのです。
キャリアデザインをし過ぎず、むしろキャリアドリフト(漂流)のほうが重要なのです。そうして、試行錯誤するうちに後のキャリアの「軸」となる専門性を見つけるというスピード感で問題ありません。


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