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2018.12.18

時計

【後編】小さな時計の内側に大きく広がる“機械の世界”とツナガル

近年、人気のある時計のスタイルがスケルトンだ。文字盤を省き、内蔵のムーブメントを露わにする。そこにあるのは無機質な機械だが、それは時計のアイデンティティでもある。むき出しになった機械の世界にツナガルことで、その本質に触れるのだ。前編に続き、後編をお届け。

PIAGET ピアジェ
「アルティプラノ」 アルティメート・オートマティック
極薄と機能美を両立した、一体構造という発想転換

K18PGケース、41mm径、自動巻き。312万5000円/ピアジェ 0120-73-1874
2014年のメゾン誕生140周年を祝し、発表されたキャリバー900Pは、極薄時計のパイオニアであり、その技術をさらに進化させる象徴でもある。最新作は当時世界最薄を誇った手巻きから、文字盤外周で回転するペリフェラルローターを採用し、自動巻き化を果たした。
一般的なケースとムーブメントが別体となった構造ではなく、ムーブメントの構成パーツをそのままケースに組み込むことで、これを一体化し、わずか4.30mmという薄さを誇る。またムーブメントの構造を反転することで、その精緻なレイアウトや動きを前面からそのまま見ることのできる機能美も両立した。
 

CVSTOS クストス
チャレンジ ギュスターヴ エッフェル
パリの夜景を飾る艶姿をブラック&シルバーで表現

限定30本。SS(ブラックPVD加工)ケース、縦53.7×横41mm、自動巻き。155万円/フランク ミュラー ウォッチランド東京 03-3549-1949
2019年に建造130周年を迎えるエッフェル塔は、当時としては画期的な鉄とガラスを組み合わせ、堅牢でありながらしなやかなフォルムを実現した。技術者であるギュスターヴ・エッフェルから命名されたのも、その功績ゆえだろう。
本作ではこの時を超越した技術とデザインの融合を時計で表現。トラス構造の骨組みをケースや文字盤に再現し、スケルトン文字盤は視点が中央へと向かい、まるで塔を真下から見上げたような気分になる。シルバーとブラックに統一した色使いは、パリの夜景に煌めくような艶っぽさが漂う。
 

ROGER DUBUIS ロジェ・デュブイ
エクスカリバー アヴェンタドールS
ランボルギーニとのコラボが生んだ腕元のエンジン

世界限定88本。カーボンケース、45mm径、手巻き。2310万円/ロジェ・デュブイ 03-4461-8040
流麗なスタイリングに、緻密かつ力強さに溢れる機械を秘めるという点で、時計とクルマは通じる。ランボルギーニという最高のパートナーを得て誕生した本作は、両者の技術とスピリッツを見事に融合したもの。
搭載する自社キャリバーはアストラル スケルトンをベースに、ダブルバランスホイールを両サイドに45度バンクさせてセット、ディファレンシャルギアでこれをつなげ、高い等時性を実現した。これをサポートするホルダーもトライアングルホイールサスペンションを思わせるなど、クルマと関係の深い5つの特許技術を採用。まさに透明のエンジンフードを覗き込むような印象だ。
 

BELL & ROSS ベル&ロス
BR-X1 スケルトン トゥールビヨン サファイア ブラック
サファイアクリスタルに“心臓部”が浮かび上がる

サファイアクリスタルケース、縦45×横45mm、手巻き。5600万円/オールブルー 03-5977-7759
完全に透明なタイムピースとして、2016年に発表したスケルトンウォッチ、BR-X1 クロノグラフ トゥールビヨン サファイア。その第2作ではムーブメントのブリッジにオープンワークを施し、時分針インダイヤルとトゥールビヨンケージを上下に備えたシンメトリーデザインを強調する。
ムーブメントはブラックのみで統一され、創業当初よりブランドを象徴する色であるだけに、そこに航空計器の面影を映す。またブランド初の試みとして、本作は高級時計としては画期的なオンラインでのみの販売を採用。ベル&ロスの公式サイトであるeブティックで購入できる。
 
※本文中における素材の略称は以下のとおり。
SS=ステンレススチール、K18=18金、PG=ピンクゴールド
柴田 充、髙村将司、中村英俊、戸叶庸之=文


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