「ものすごくいい子。真面目だし、笑顔が最高だし、がんばり屋だし、お客さんにも愛されています。こうやって話しているだけでも、やばい、好きになりそう」
今回もやはり絶賛の嵐だった。ここで常連の男性が来店。奥のほうに進むと晴美さんが働くドリンクコーナーの前に陣取った。
「どう? 楽しくやってる?」「はい!」。確かに、愛されている。おそらく正式な客席ではないが、常連だけに与えられる特権なのだろう。
Tシャツのイラストは山内さんが「FUJIKO」をイメージして作ったもの。そんな晴美さんだが、働き始めてすぐの頃に痛恨のミスを犯したという。
「オーダーが入ると伝票に書き込むんですが、全部埋まると2枚目に行きますよね。それを忘れてお会計の際に1枚目の金額だけを請求しちゃったんです」
本来なら2万円ほどになるところを、約半分の金額しかいただかないという大ミス。店長の知り合いグループだったが、「いいよいいよ、そんなの。次から気をつけてね」と言って、あらためて請求することはなかったそうだ。
「私があまりにも落ち込んでいるので、バイト中でしたが『今日は上がっていいよ』って言ってくれて。そこからはお店にできるだけ貢献するために、心を入れ替えて働いています」
よく見るとすべての照明が異なるという内装。晴美さんの殊勝な思いに涙をぬぐいつつ、「ホッピーセット」(450円)と「つくねガーリックバター」(220円)を追加注文。
こちらも神がかったお味でした。さて、大満足したところで「大学卒業後は食品会社のマーケティングの仕事に就きたい」という看板娘にお会計を告げる。
あの日以来、伝票ミスはない。読者へのメッセージもお願いしますよ。
実直な人柄が伝わってくる字。【取材協力】 炭火串焼FUJIKO住所:東京都北区赤羽1-22-10電話番号:03-6454-4385石原たきび=取材・文