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2018.09.09

ライフ

元Jリーガー長谷川太郎から学ぶ、自らの才能を開花させる2つの方法【後編】

前編の続き

直面したセカンドキャリアの壁

こうして17年にわたって現役生活を過ごした長谷川は、引退後、次なるステップとして、ビジネスマンの道に足を踏み入れる。だが、そこでも、大きな壁が立ちはだかった。

多くのアスリートがそうであるように、現役生活を終えたあとのプランを持っていなかった長谷川は、行動してみないと何もわからないと思い、友人の紹介で2カ月間ほど警備員のアルバイトを経験したあと、知人のツテでアパレル企業に就職をした。
だが、結果は、大方の予想通りだった。何もできなかった。何もさせてもらえなかった。ただ、ひたすらダンボールへの詰め作業だけを行う日々。実力不足のために、会社に対して何も貢献していない自分に、情けなさを感じた。
今までアルバイトをしたこともなく、ただひたすらサッカーだけに取り組んできた元Jリーガーは、そのプライドを切り裂かれるとともに、自分が輝く術を考え始めていた。

「実は、アスリートの場合、根性があると思われているので、採用してくれる企業はたくさんあります。でも、その先で壁にぶち当たるんです。やると決めたことに関しては根性があっても、自分がやるって決められなかったりすると、とにかくブレまくる。
周囲の方々と折り合いがつかなかったり、職を変えたり。周りからすると、プライドが捨てられないって思われがちですが、実際は、やりたいことが定まっていないことが原因なんです。やりたいことが定まらないから不安で仕方がない。
そのうえ僕の場合、家族を持っていたので、奥さんはさらに不安ですよね。女性は安定を求めますから、ケンカになるケースも多くなっていくんです」。
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ワクワクを求め続けたその先の未来

こうして、引退後、心のバランスを失っていた長谷川に再び大きな転機が訪れたのは2015年のことだった。
その年の1月に行われたAFCアジアカップ2015で、優勝候補と目された日本代表は、幾度となく訪れた決定機を逃し続け、PK戦の末にUAEに敗れてしまう。
長谷川は、35本もシュートを放ちながら1点しか決めることができなかった日本代表をテレビで見ながら、「自らの経験を生かせば、ストライカーに特化した指導ができるのではないか」と思い立った。
「引退後、何に対してもワクワクしなかったんです。でもこのときは、なぜか“できる”って思ってワクワクしたんです。会社員になってからは自信がいっさい持てなかったし、“できる”っていう勘違いすら起きない。実際、何もできないから、会社に対して後ろめたい気持ちしか生まれなかった。そうじゃなくて、自分が自信を持って発信できるものをやっていきたいっていう気持ちが芽生えました」。
こうして、自ら立ち上げたサッカースクールが「TRE2030 ストライカー・アカデミー」だ。長谷川は、このスクールを経営しながら、子供たちの指導にあたっている。
そのスクール名称が示すとおり、2030年までに日本人のW杯得点王を育てるという大きな目標を掲げている。現在その会員は着実に増え続けており、多くの人たちに支えられながら、子供から大人まで、幅広い層の会員とともに活動を行なっているそうだ。
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