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ワクワクを求め続けたその先の未来

こうして、引退後、心のバランスを失っていた長谷川に再び大きな転機が訪れたのは2015年のことだった。
その年の1月に行われたAFCアジアカップ2015で、優勝候補と目された日本代表は、幾度となく訪れた決定機を逃し続け、PK戦の末にUAEに敗れてしまう。
長谷川は、35本もシュートを放ちながら1点しか決めることができなかった日本代表をテレビで見ながら、「自らの経験を生かせば、ストライカーに特化した指導ができるのではないか」と思い立った。
「引退後、何に対してもワクワクしなかったんです。でもこのときは、なぜか“できる”って思ってワクワクしたんです。会社員になってからは自信がいっさい持てなかったし、“できる”っていう勘違いすら起きない。実際、何もできないから、会社に対して後ろめたい気持ちしか生まれなかった。そうじゃなくて、自分が自信を持って発信できるものをやっていきたいっていう気持ちが芽生えました」。
こうして、自ら立ち上げたサッカースクールが「TRE2030 ストライカー・アカデミー」だ。長谷川は、このスクールを経営しながら、子供たちの指導にあたっている。
そのスクール名称が示すとおり、2030年までに日本人のW杯得点王を育てるという大きな目標を掲げている。現在その会員は着実に増え続けており、多くの人たちに支えられながら、子供から大人まで、幅広い層の会員とともに活動を行なっているそうだ。


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