果実味、渋味、ミネラル……。シャンパンの原材料であるブドウは多面的な味わいを持ち合わせており、各メゾンや銘柄によって軽やかなものからフルボディまで幅広いタイプが揃っている。
ゆえにシャンパンは、各種料理とのペアリングによって味わいが大きく変わる。
世界にスパークリングワインは数あれど、シャンパンでしか表現できないキリッと芯の通った酸。この酸味によって、料理の輪郭がくっきりと浮かび上がるのだ。
そして、シャンパンに唯一足りない味の要素とも言われる“塩味”。これを料理が補うことで、シャンパンはもっと美味くなる。
そんな視点でシャンパンとゴハンの相性を考えてみると、組み合わせは無限大。前菜だけでなくメインにもOK。料理のジャンルも垣根なし。
また、「高級店にしか置いてません」が当然だった昔と違って、今や立ち飲み屋にだってシャンパンがオンリストされている時代。もっと自由にペアリングを楽しんでいいはずだ。
立ち食い天ぷらに、ベトナム料理。食べ慣れた料理だって新鮮に感じる、高貴な泡が起こす“味わい革命”。今すぐ体験しに行ってみないか?
シャンパンが唯一持たない塩味を補う爽快マリアージュ
東京・麻布十番のメインストリートにある喜久や。立ち食いスタイルでカジュアルにシャンパンと天ぷらが楽しめる“天シャン”がウリで、夏はまだ明るいうちからたくさんの客がそれを味わっている。
カウンターのみの店内で天ぷらがパチパチ揚がる心地良い音を聞きながら、季節物の「ハモ」(580円)や「万願寺とうがらし」(250円)、「トマトとモッツァレラのカプレーゼ」(200円)などをオーダー。それを、シャンパン「ピエール・パイヤール グラン・クリュ」(グラス990円)とともに食す。
シャンパンの泡が口内に溜まった油分をまろやかにしてくれ、食後には爽快さすら感じさせる新感覚なマリアージュ。ちなみに天ぷらは、カウンターに置かれたわさび、ゆず、ヒマラヤ岩塩の3種の塩をお好みで。
シャンパンに足りない唯一の味、塩の要素を補う最高のペアリングだ。
喜久や 麻布十番店03-6721-0557 東京都港区麻布十番1-5-20 1F 営業/14:00〜23:30(土・日曜、祝日は11:00から) 年末年始定休 スパイシーサラダで受け止めるシャンパンの爽やかさ
日本を代表するワインテイスターであり、ソムリエの大越基裕さんが妻と昨年オープンさせたモダンベトナム料理店、アンディ。ここの人気メニュー「ティーリーフサラダ」(1800円)とシャンパンのペアリングは感動モノだ。
発酵させた八女茶の葉、きゅうり、干し海老、トマト、緑豆、ハーブ、ナッツなどに、甘夏のソース(時季により変更)をかけて食べる彩り豊かなサラダは、ベトナム料理らしいスパイシー感と爽やかさが特徴。
それに合わせるシャンパンは、「シャルトーニュ・タイエ」(グラス2000円)で、大越さん曰く「温度の変化によって味わいも変わります。常温になるとより爽やかさを感じられるはずですよ」。
こうして、シャンパンとサラダの“爽やかさ”が出会った瞬間がまさにハイライト。感動の“味わい革命”に驚くはずだ。
アンディ03-6447-5447 東京都渋谷区神宮前3-42-12 営業/18:00〜23:00LO (土・日曜は12:00〜13:30LO、18:00〜22:00LO) 月曜定休 甘党オッサンが感動する、ソルベとシャンパンの出会い
フレンチの巨匠によるチョコレートブランド・ショップ、ル・ショコラ・アラン・デュカス。甘党オッサンには、そのル・サロン(カフェ)で楽しむソルベとシャンパンを提案したい。
夏季限定で登場する「クープ・ダグリューム/ソルベ・ショコラ」(写真中央1900円)は、さまざまな食感に仕上げた果実のピール類をチョコソルベでいただく見た目にも夏らしい一品。
柑橘のフレッシュさとショコラの豊かな香りは名門シャンパン「ボランジェ スペシャル・キュベ」(グラス1850円)の上品な酸味にマッチし、ソルベの冷たさで口当たりもスッキリ。
暑い時季のクールダウンにも最適だ。また、定番の「ムース・オ・ショコラ」(写真奥1600円)も当然絶品。シャンパンとスイーツなんて当たり前、と試さずいたら、絶対に損しますぜ!
ル・ショコラ・アラン・デュカス 六本木03-5775-1185 東京都港区六本木6-12-2 六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り 営業/11:00〜 21:00 渡辺修身、川崎一真(SIGNO)=写真(静物) 中村圭介、横山勝彦=写真(取材) Matsu★Bockrin=イラスト