5㎝四方に満たない小さな世界のなかで、アレコレ工夫をこらして“らしさ”や利便性を追求する。そのアイデアは些細なものかもしれないが、案外世界を動かす重大なものだったりするのだろう。そんな発想力のある時計をご紹介。
CVSTOS
クストス/チャレンジ ジェットライナーⅡ P-S オートマティック
天敵=磁力を味方につけ、見た目も性能も向上
航空世界を表現する本シリーズらしく、6時位置にジェット機のタービンを模した羽根車型の秒針を設置する。
秒針を司る四番車が中央に備わるセンターセコンド仕様をスモールセコンドに改良したという、この変則キャリバーは羽根車の駆動ギアに磁石の力を用いている。
それゆえに、摩耗や運針のロスを防ぐというまったく新しいシステムを採っているのだ。
G-SHOCK
Gショック/MRG-G2000HA
日本らしさを伝統技法で表す最先端ウォッチ
耐衝撃性に加え、GPS&電波ソーラー、スマホ連携においても日本が世界に誇るGショック。その高級モデルでは、「鎚起(ついき)」と呼ばれる伝統的な鎚目加工で日本らしさを表現した。
京都の鎚起師、淺野美芳氏監修のもと一点ずつ刀装具「鉄鐔(てつつば)」をイメージした鎚目をつけたベゼルとブレスのコマに、日本古来の素銅(あすか)色をイメージしたIP加工を施し、両者の技術を融合。その発想力に驚嘆。
BOMBERG
ボンバーグ/BB-68
デザイン面&機能面で価値がある“雄牛の頭”
’60年代後半から’70年代前半にかけて世に出た、通称“ブルヘッド”と呼ばれる仕様。12時位置にリュウズを備え、クロノグラフのプッシャーをその両側に配置した様子が雄牛の頭に似ていることが由来だ。
着用者にとってリュウズが手首に当たらないという利点もある。また時刻を見やすくするために文字盤をあえて(着用者本人から見て)手前に傾斜させている点もユニーク。
RJ
RJ/スカイラブ グラン・フー
伝統へのオマージュをアヴァンギャルドに表現
スイス時計界において、表面を平滑に仕上げるのに高度な技術を要することからも一目置かれるグラン・フーエナメルのダイヤル。
大胆にもその下半分をウォーターカッターで切り落とし、ムーブメントを覗かせるアヴァンギャルドなデザインは、工芸技法と時計技術、双方の伝統にオマージュを捧げるブランドの気概を伝えるもの。
二分されたダイヤルの対比が美しい。
※本文中における素材の略称は以下のとおり。
SS=ステンレススチール、K18=18金