いくつになっても、“男の子”を卒業できない。そんな僕らの心をいつまでもくすぐるのは、「秘密基地と工作」というキーワード。マイホームを建てるなら書斎を、と夢見るのもその名残だろう。そんな僕らの心をときめかせる工房が、湘南は七里ヶ浜にあった。
それは「ukulele studio 七⾥ヶ浜」。ご主人・三井達也さんのお仕事は、ウクレレ教室とウクレレビルダー、つまり自作のウクレレ販売だ。これまでに作り上げたウクレレは実に404本。1本1本丁寧に作り上げた逸品は、多くのファンの心を掴んで離さない。その評判から「ミツレレ」という愛称がつくほどである。そんなウクレレ作りの工房を覗かせていただいた。
工房にて。現在製作中のウクレレとともに。 湘南のウクレレ工房。2畳に広がる製作の熱気 狭く雑然とした工房。まさに男のロマンが詰まった一部屋。 「とこやサン」という床屋さんのご主人に作ってもらったというこの工房。じつはベランダの上に建っている。窓には緑のカーテンがあり、パッションフルーツが植えられている。植物のチョイスまで南国らしい。2畳ほどの工房には、使い込まれた糸鋸やノミ、そして木材がところ狭しと並ぶ。そして、現在製作中だという可愛らしい3本のウクレレが吊り下げてあった。
個人だけでなくショップからもオーダーを受ける三井さん。現在は2年半待ちの状態だ。1本のウクレレにかかる製作期間は2カ月。その工程は気が遠くなるように地道な作業だ。
2サイド板曲げ。これのパーツを重ねて接着剤でくっつける まずはボディのサイド板曲げ作業。水につけて曲げ、固定して乾かす。乾かすのに2週間もかかるという。
完成したサイドパーツ このサイドパーツにボディを装着し、さらに装飾を施し、ネックを装着していく。
そこから装飾、ペグ穴をあけ、塗装を経て完成。装飾にはグリーン・アバロンという緑色に輝く色をしたメキシコ産のアワビや白蝶貝などの螺鈿が施されることもある。
こだわりは弾きやすさ。形状、そしてバランスが肝 長い、そして繊細な工程を通じて、とくに三井さんがこだわるのは、弾きやすさだという。
「まずはネックの部分。多くのウクレレは、太かったり出っ張っていたりするんですが、僕が目指すのは、かまぼこ型。こうすると弦に指が届きやすくなる」
「ヘッドのつけ根部分は、手が引っかからないように、ネックの直線をヘッド側へ延長しています。ウクレレの場合、左手でヘッドのつけ根を支えるような形になるので、こんな形状だと収まりがいいんですね」
「あとはネックとボディのバランス。ペグ(ヘッドの部分)をつけた時に、ネックの根元でちょうどバランスが取れるようにしています。基本的に手で支えることの多いウクレレはバランスが悪いとグラグラしてしまうんですよ」
ウクレレを作り始めて20年弱が経つものの、「こういうのが作りたい」というアイデアは尽きないという。今日もネックを削る音が、ベランダのちいさな工房から聞こえてくるはずだ。
写真=澤田聖司
※製作過程の一部カットは三井さん提供
取材・文=芋川健
※第7回の募集は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。【オーシャンズとレジャーの会 第7回イベント】 ゼロからはじめる「ウクレレ講座」【講師】 三井達也さん(ukulele studio 七⾥ヶ浜代表)【募集概要】 日時:11月26日(日) ①午前の部 ②午後の部 場所:BOMA Tokyo 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町33-8塚田ビル8F TEL : 03-3464-2544 ※直接会場までお越しください 定員:24名(午前の部/午後の部の入れ替え制) 参加費: ・雑誌OCEANS定期購読者:無料 ・一般読者:3000円 *雑誌OCEANS定期購読者の方は、お連れ様1名まで無料です。 *当日会場にて現金でのお支払いとなります。必ずご用意ください。 締め切り:2017年11月1日(水) *当選者の発表は、メールの発送をもって代えさせていただきます。