いい大人にもなればダラしない格好はできない。たとえカジュアルなスニーカーだろうと好印象を抱く一足が必要だ。では何を選ぶか。その答えこそ、あのジェントルなスポーツにある。こちらで紹介するモデルは、テニス風味が生きた清潔感のあるルックスが共通項。カジュアルスタイルに大人の求めるクリーンさをそっと添えてくれる頼もしいやつらなのである。
SALVATORE FERRAGAMO
サルヴァトーレ フェラガモ
ピュアホワイトの高級カーフレザーで、コート系デザインをかくもエレガントに仕立てた。サイドに配したレインボーストライプの生地は、その部分だけライニングを省くことで通気性をアップ。美しさの中に“履く人想い”の工夫を凝らした本作に感じるのは、機能とデザインを融合し、信頼のある靴作りに徹してきたブランドの矜持。
PANTOFOLA D’ORO
パントフォラ・ドーロ
イタリア発のパントフォラ・ドーロは、老舗シューメーカーから生まれたハンドメイドにこだわるブランド。ご覧のように形はいたってスタンダード。しかし、スポンジがむき出しになったタンやアイボリーソールなど、ヴィンテージさながらの風合いが魅力だ。
BARNEYS NEW YORK × FILA
バーニーズ ニューヨーク × フィラ
フィラの「オリジナル テニス」といえば、2000年代にストリートでも高支持を受けた名モデル。それをバーニーズの別注によって復刻したのがこちら。シームの露出を抑え、上質なレザーを駆使しながらより上品なデザインに刷新されている。
SPRING COURT
スプリングコート
スプリングコートは、1936年にリアルユースのために生まれたブランドである。そんな老舗から、真っ白なパンチングレザーがユニークなモデルをピックアップ。ソールに入ったエアベント(通気孔)の斬新な意匠もウィットに富んでいる。
DIADORA HERITAGE
ディアドラ ヘリテージ
こちらの「B.エリート」は、テニス史にも名を残す名プレーヤー、ビヨン・ボルグが愛用していたことに由来している。ちなみに、アッパーの清々しいブルーグラデーションは、サッカーのイタリア代表がモチーフなんだとか。
LACOSTE
ラコステ
スーパーミニマルな白のアッパーに小さいワニがちょこんとのった姿。その趣を見てピンときた人だっているはず。こちらは、テニスウェアのルーツでもある同社のポロシャツの代名詞「L.12.12」のデザインを落とし込んだ一足。なるほど、どおりですこぶる爽やかなわけだ。
ELLESSE HERITAGE
エレッセ ヘリテージ
エレッセのバッググラウンドが、テニスとスキーをルーツにしていることを意外に知らなかったりする。実は、イタリアで半世紀以上の歴史をもつ老舗スポーツブランドなのだ。こちらは、1986年に登場したモデル。優しさ溢れる淡色のスエード×ナイロンのアッパーに、ソールのビタミンカラーが映える。
ADIDAS TENNIS COLLECTION BY PHARRELL WILLIAMS
アディダス テニスコレクション バイ ファレル ウィリアムス
足にフィットするシームレスのニットアッパーをはじめ、アディダスの最高峰の技術を詰め込んだ一足。これなら滑りやすいコートでも自由に動けるし、タウンユースでも疲れにくく快適。ポップながらも上品なこの配色は、あのファレル・ウィリアムスの提案だ。
“個”ばかりを主張していた時代はもう昔の話。大人ならかしこまったスタイルを必要とする場も増えてくるし、協調性も重要になってくる。そんな時はクリーンさが好印象を得られる何よりの要素。スニーカーながらそれを手にできるなんて、まさに大人に格好のアイテムじゃないの!
清水健吾=写真 松田有記=スタイリング