年季の入ったデニムに、ギターやライダーズ。散見するキズやヨゴレはある種の勲章であり、時の経過とともに確固たる自分のスタイルとなっていく。そんな味わいのあるダメージ加工を施したスニーカーを選抜。漂う渋さは、ピッカピカの新品には真似できないぜ!
SANT LAURENT サンローラン
大胆なストーンウォッシュ加工を施すことで、キャンバス×レザーのアッパーからソールにいたるまで、履きこんだようなユーズド感を表現。そこに「SMOKING FOREVER」と落書きしたり、ピンズを付けてカスタマイズしたり。本作にうかがえるパンクスピリットやDIY精神は、モードの歴史を塗り替えてきたサンローランらしいアティチュードだ。
SANTONI サントーニ
世界的にも知られるイタリアの革靴専業メーカーは、クラシック&モダンなもの作りでこれまで多くの支持を得てきた。ダブルモンクはそんな同社を代表するデザインで、今回は大胆にもスニーカーへ採用。手作業による色付けで、自然なグラデーションを作ったアッパーのカウレザー。そこから放たれる艶やかな光沢は実にエレガントだ。それに反し、アウトソールは染色加工により履きこんだような風合いに。その対比もまた面白い。
[上記の写真上から]
YSTRDY’S TMRRW イエスタデイズ トゥモロー
今季デビューしたばかりの新進気鋭。その注目作は、古着に精通したデザイナーのルーツが色濃く反映された’90sライクなローテクデザイン。製品染め加工を加え、褪せてくたっとした生地の質感や、白っちゃけたようなソールの色みをリアルに演出している。
PAUL SMITH ポール・スミス
どこか懐かしさを感じさせるポール・スミスの新作。それもそのはず。ポール・スミス氏がデザインのソースにしたのは’70年代のスニーカーである。日焼けしたようなアイボリーのソール、トウ部分などを品良くくすませたスエードアッパーなど、リアルなエイジング加工は必見。
GOLDEN GOOSE DELUXE BRAND ゴールデン グース デラックス ブランド
アッパーへ施した特徴的な模様は「ベネチアンタペストリー」に着想を得てデザインされたもの。肉厚にして柔らかなムートン製だからすこぶる優しい履き心地だ。渋さを感じさせるレザーやソールの作り込みもまた、ダメージ加工を得意とする同ブランドならでは。
アッパーのキズや色のくすみ、そして汚れ。長年ともに歩んできたからこそ、そこには自分らしさが生まれる。容易に手にできるものではないが、忠実にダメージを再現した逸品ならそれも可能か!? そう期待を抱かせるに十分なポテンシャルを秘めたアイテムたちをこの秋に。
清水健吾=写真 松田有記=スタイリング