プラモ作りとは、いつも二手三手先を考えて行うもの…
子どもの頃に熱中したものの、「坊や」ゆえ途中で挫折してしまったり満足のいく仕上がりを得られなかったりといった、心残りを抱えていた“あの頃”のガンプラに再入門する今回の企画。いよいよ実製作に入りたい。まずは、ガンプラ製作に必要なツールの準備だ。
「”あの頃”ホビー再入門」を最初から読む思い出してみるに、当時ガンプラを作るために用意した道具といえばズバリ「爪切り」と「接着剤」の2つだけだったという人も多いだろう。もちろん、最低限の装備としてはこの2つでもプラモを組み立てることはできる。というか、今回取り上げる当時のガンプラ(旧キット)ではなく、最新のガンプラであれば、接着剤すら必要がないという。しかし今回は、あくまでも「あの頃ホビー」の再入門。当時の自分に誇れる作品に仕上げるためには、相応のツールを用い大人ならではのテクニックを駆使したいところである。そこで、こんな「教科書」を用意した。
プロモデラー、野本憲一氏による『ガンプラ入門』(株式会社ホビージャパン刊)。プラモデルに必要な道具や基礎テクニックの紹介はもちろん、旧キットを含むガンプラ製作のコツを初心者向けにわかりやすく解説した一冊として、口コミ評価も高かった一冊である。やはり何事も本格的に挑むのであれば先人の教えに従うのがセオリー。以降の工程はすべてこの本で紹介されている手順やテクニックを参照させていただいた。
『ガンプラ入門』にも、確かに爪切りでも要は足りると書いてあるのだが、より美しくかつ楽にパーツを切り離したいのであれば、やはりプラモデル用のニッパーを用意すべきとのこと。また、いきなり接着して仕上げるのではく、最初に「仮組み」を行い、全体像や不具合を確認しておくとよいという。そこで最初の一歩として用意したのが、これらのツールたちだ。
写真左からフィニッシングペーパー(プラスチック向け紙やすり)、デザインナイフ、プラモデル向けニッパー、接着剤、両面テープ、マスキングテープ、そして下に敷かれているカッティングマット。仮組みの時点で接着剤やフィニッシングペーパーは必要ないが、とりあえずこれだけ揃えておけば、組み立てまでの工程には十分なはず。後述するが、マスキングテープは塗装の工程でも重要な役割を担う。自宅にあったものなので写真に入れ忘れたが、定規(できれば金属製)も用意すべき装備といえるだろう。
この感触! この肌触りこそプラモデルよ!!
それではパーツの切り離しだ。『ガンプラ入門』によれば、いきなり切り離すのではなくランナー(枠)、ゲート(パーツとランナーの接部)というように
2段階以上で切り離すのが鉄則とのこと。そういえば、子ども時代はいきなりパーツを爪切りでパチンパチンしていたため、切り口が汚くなってしまったりパーツに傷をつけたりしていたなぁ。むしろ、面倒なので大体のところ手でもぎ取っていた記憶すらあるぞ。
パチンパチンと、ニッパーでプラスチックを切る感触の心地よさ…。デスクワークに明け暮れていると、これだけでもすでに「モノづくり」の快感に酔ってしまう。さらに、ここからが「大人のガンプラ」を感じさせるテクニックの登場だ。パーツの切り離しはニッパーだけでも行えるのだが、切り離した跡をきれいにするため、デザインナイフで少しずつ削っていくのである。
削り方にある程度のコツがいるだけでなく、丁寧さと根気が要求されるこの作業。あの頃の自分には到底できない芸当だっただろう。すごいぞ、大人の俺。
見よ、この美しい切り離し跡。モデラーならさらに美しく仕上げられるのだろうが、素人なのでこれでも感激の出来栄えだ。同様に、他のパーツもプラモの説明書の手順に従い切り離し、マスキングテープで貼り付けていく。グフの「ツノ」のようなパーツは、両面テープで貼り合わせるとよいそうだ。
すべてのパーツを切り離し、テープで貼り合わせれば「仮組み」の完了である。
おぉ、遂に我らオッサン憧れのモビルスーツ「グフ」が眼前に! 仮組みとはいえ、すべてのパーツが組み合わさりその姿を現した瞬間の興奮と満足度たるや!!
正直、もうこれでいいんじゃないか? とすら思えるほどの達成感。しかし、これはまだ最初の一歩に過ぎないのだ。
仮組みをはたし一時の満足に酔うオッサン。だがその先には、旧キット・ガンプラならではの、さらなる試練と陶酔が待ち受けているのであった…。次回「時間よ、止まれ…」編。俺は作り終えることができるか?
文:石井坂浩二郎
協力:株式会社バンダイホビー事業部次回を読む