OCEANS

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2017.01.26

あそぶ

オッサン、プラモ店に立つ!! ~ガンプラ製作編①~

覚えているかい? 少年の日、作りかけたガンプラのことを……

(C)創通・サンライズ
ガンダムのプラモデル、通称「ガンプラ」にハマったのは小学校高学年の頃だった。シリーズ第1作『機動戦士ガンダム』が放送されたのは1979年のこと。しかし初回放送は、あまり注目されることがなく、再放送で本格的なブームを迎えることになる。ガンプラ第1弾『1/144 機動戦士ガンダム』が発売されるのは初回放送終了から半年後の1980年。子どもたちがガンプラに群がる一大フィーバーが訪れるのは、翌1981年からのことという。
自分を含めた子どもたちは、わずかな入荷を求めて早朝から開店前のプラモデル店に並んだものだった。夏休みのラジオ体操を終えたその足でプラモ店にダッシュ。目の前に並ぶ人を数えながら、ドキドキしたりワクワクしたりした体験を共有できる同世代男性も少なくないだろう。
そんな、大変な思いをして手に入れたガンプラだが、当時の自分にはプラモデルを“カッコよく”完成させるスキルも根気も、残念ながらなかった。もちろん、パーツを組み立て簡単な塗装をすることくらいまではできたが、その出来栄えはプラモ店にディスプレイされていたのとは程遠いもの。それでも理想はあくまでも高く、わずかな小遣いで買える範囲のツールを少しずつ揃え、子どもには難解な記述も多かった専門誌を参照しながら、カッコいいガンプラの完成を目指したのだったが……。
気づけばいつのまにか、ガンプラのことなんて忘れてしまっていたのだ。未完成のまま放置され、おそらくはお母さんに捨てられてしまったキットたち。マイブームが去ったといえばそれまでだが、中途半端な“やりかけ”を残したまま大人になってしまったことは、改めて考えると何とも後味が悪い。あれから数十年(!)。子ども時代に比べ、手先の器用さも根気の良さも、ある程度は向上した大人の僕なら、当時の自分が憧れた“カッコいい”ガンプラを完成させることができるのではないだろうか? 早速再入門です。

まさに「圧倒的」な進化を遂げたガンプラ。しかし僕らの夢は今も……

発売から30余年。今では世界的規模で愛されている、日本を代表するホビーの1ジャンルとなったガンプラ。製品のクオリティも格段に進化している。現在発売されている「HG(ハイグレード)」「RG(リアルグレード)」といったシリーズは、キャラクターの再現度がよりリアルになっているのはもちろん、パーツがあらかじめ色分けされていたり、接着剤不要で組み立てができたりと、プラモ初心者でも簡単に、カッコよすぎるといっても過言ではないガンプラを完成させることが可能になっている(下記の写真はHGガンプラシリーズの新作『1/144ガンダムバルバトスルプス』。税込1080円)子ども時代にこんな製品が出ていたら、もっともっとガンプラにハマっていたに違いない。
(C)創通・サンライズ
(C)創通・サンライズ
しかし、今回の目的はあくまでも“あの頃”のガンプラへの再挑戦だ。調べてみると、 “あの頃”のガンプラは「旧キット」と呼ばれ、現在も販売されているとのこと。しかも驚くことに価格は当時のまま。ネット通販では何故かプレミア価格になっている場合もあるが、専門店やホビーコーナーのある量販店に行けば、1/144スケールのガンダムやザクが300円※税抜き価格(もっと安い場合もある)で販売されているばかりか、当時(僕が住んでいた地域では)見かけることも困難だったゾックや旧ザク、アッグガイなどのレアキットも旧価格で入手できる。さて、何を作ろうか。

オッサンがつくるべきガンプラは、ザクとは違うのだよ!!

熟考の末、再入門に選んだのは1/144スケールのガンプラとしてはガンダム、シャア専用ザクに次ぐ発売第3弾にあたる古参中の古参キット『改良強化新型 グフ』だ。操縦するのはランバ・ラル大尉。ファンならご承知のとおり、若者たちの活躍が中心となる本作で、群を抜く“オッサン”である。戦馬鹿(いくさばか)と呼ばれた生粋の職業軍人として、主人公アムロの成長に大きな影響を与えるランバ・ラルの存在は、子ども心にもシビれたものだが、ストーリーを観なおすと部下たちから絶大な信頼を得ていたり、派閥争いに巻き込まれ不遇な目に会ったりと、社会人として尊敬・共感できる点が多いキャラクターでもある。なにより戦場をも共にしてしまう内縁の妻、ハモンさんの美貌ときた日には! 大人だからこそ再認識できるランバ・ラルの魅力。子ども時代には理解できなかったダンディズムを、今ならグフのガンプラに加味することができるに違いない。
(C)創通・サンライズ
購入したキットのパッケージは、言うまでもなく当時そのままだ。添えられた「このキットにランバ・ラルはついていません。」の注意書きも懐かしい。
(C)創通・サンライズ
箱を開け、姿を現したのは……まさに“あの頃”のガンプラ。パーツを包むパリパリとしたビニールを破る感触までそっくりそのままだった。
(C)創通・サンライズ
そして説明書。こちらも一見、当時と変わらないようだが、よく見ると「色を塗るときは、『水性塗料』のご使用をおすすめします。」など、記憶にない表記もみられる。パーツ数は40弱。組み立ては大きく分けて全7工程。大人になった今みると、記憶以上にシンプルだ。作れる、これなら作れるぞ! 
(C)創通・サンライズ
というわけでいよいよ組み立て開始.。あの頃の自分に誇れるガンプラを目指すためオッサンが用意したものとは? 次回『オッサン、出撃す!』編。俺は作り終えることができるか!?
文:石井坂浩二郎
協力:株式会社バンダイホビー事業部
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