時器放談 Vol.21
2020.12.16
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アニメ界屈指の時計好き、次元大介が好んだ腕時計。一方ルパンは?

「時器放談」とは……

腕時計は名刺代わり。人となりを表すものとして最適だからこそ、映画などでは、重要な“役どころ”を担うことがある。

寅さん、ジェームズ・ボンドに続く3人目は『ルパン三世』の人気キャラクター、次元大介。彼が愛した“あの時計”を掘り下げよう。

掘り下げていただく、広田雅将さん(左)と安藤夏樹さん(右)。

>1人目『男はつらいよ』車寅次郎編
>2人目『007』ジェームズ・ボンド前編後編

次元大介が選んだゼニス

安藤 3人目は『ルパン三世』に登場する次元大介の愛用時計に迫りたいと思います。

広田 時計好きの間ではよく知られていますが、次元大介といえばゼニスですね。2019年、ゼニスが、TVアニメ『ルパン三世』の第1話「ルパンは燃えているか?!」で次元が愛用していた「エル・プリメロ A384」を忠実に再現したことで話題を呼びました。

安藤夏樹●1975年、愛知県生まれ。ラグジュアリーマガジンの編集長を経て、現在はフリーに。「SIHH」や「バーゼルワールド」を毎年取材し、常に自分の買うべき時計を探す。口癖は「散財王に俺はなる!」。

安藤 限定50本だったこともあり即完売しちゃったんですよね。コレクターにはたまらないコラボレーションでした。僕も欲しかったんですが(涙)。

アニメ『ルパン三世』第1話での次元大介がしていた腕時計のモデルになったと言われる、1969〜1971年に製作されていた当時のエル・プリメロがこちら。

広田 それは残念でしたね。でも、つい先日ゼニスから第2弾が発売されそうじゃないですか!

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「エル・プリメロ」のコラボウォッチ第2弾が発売中!

安藤 そうなんですよ! 第2弾のモチーフとなったのは『ルパン三世』 第1シリーズの最終話「黄金の大勝負!」。その冒頭で次元大介が着けていた「エル・プリメロ A384」のブレスレットモデルなんです。

コラボ第2弾として発売された「クロノマスター リバイバル ルパン三世 セカンドエディション」SSケース、37mm径、自動巻き 100万円/ゼニス 03-3575-5861 ©︎MP/T・N

広田 前作に続き、これも魅力的ですね。特徴的な形状のSSケースにハイビート自動巻きムーブメントの「エル・プリメロ」を搭載。特筆すべきは、1969年に発売された「エル・プリメロ A384」に採用されていた、ゲイ・フレアー社のラダー(梯子)ブレスレットも復刻している点。

安藤 次元はゼニスを愛用しているというのはよく知られていたんですが、意外にもふたつの異なる「エル・プリメロ」を着用していたんです。

広田 僕は事実として知っているだけなんですが、そもそも劇中には着用シーンは出てくるんですか?

安藤 出てくるんですよ。それもとっても大きく。

劇中に登場した「エル・プリメロ」。 ©モンキー・パンチ/TMS・NTV

広田 おお(笑)。これは時計好きならわかりますね、興味深いです。ただアニメ公開時期のゼニスの知名度を考えると、原作者のモンキーパンチさんがかなりの“時計通”だったことがわかりますね!

安藤 そうなんです。メルセデス・ベンツのSSK、シトロエンの2CV、日産のブルーバードetc.、『ルパン三世』では車のディテールが細部までしっかり描かれていることで有名ですが、同じように腕時計に対してもモンキー・パンチさんのこだわりを見て取ることができるんです。

広田 にしても、次元はとても目が肥えている。

安藤 次元は拳銃の腕も一流ですが、実は時計選びも一流。素晴らしい審美眼の持ち主。

「クロノマスター リバイバル ルパン三世 セカンドエディション」に付くオリジナルの外箱とリーフレット。ゼニスの次元に対するリスペクトも感じられる。

広田 ほかにはどんな時計を愛用していたんでしょう?

安藤 ロレックスの「サブマリーナー」やオメガの「スピードマスター」です。

広田 どれもマスターピースと呼ばれる腕時計じゃないですか。

安藤 次元は時代が移り変わっても色褪せることのないタイムレスな時計を好んでいたんです。面白いのは、次元に対してルパンが対照的な時計選びをしていたことです。

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次元は普遍的、ルパンは流行に敏感な時計選び

広田 それは興味深いですね。彼はどんな時計を愛用していたんでしょうか?

安藤 ルパン三世の愛用時計として有名なのがオメガの「シーマスター・クロノクオーツ」。1976年のモントリオールオリンピック記念に登場した、いわゆる“デジアナ”時計です。ほかには、フランスのイエマというブランドの「ミーングラフ」と呼ばれるモデル、アミダの「デジトレンド」なども知られています。

広田 なんだかジェームズ・ボンドの“スパイウォッチ”のようなセレクトなんですね。

安藤 ごつくて、なんだかギミックを備えていそうな外観が共通していますね。ルパンの派手なファッションからも想像できるように、デザイン重視で選んでいるところが次元と対照的で面白いんですよ。

広田雅将●1974年、大阪府生まれ。腕時計専門誌「クロノス」編集長。腕時計ブランドや専門店で講演会なども行う業界のご意見番である。その知識の豊富さから、付いたあだ名は「ハカセ」。

広田 普遍的な時計選びをする次元、そして流行に敏感な時計選びをするルパン。キャラクターの作り込みが本当に丁寧ですね。このあたりはまさに『ルパン三世』の大きな見所となりそうですね。

安藤 神は細部に宿る、とはよく言ったもので、名作と言われている作品はやはり細部の作り込みがすごい。第1回目の寅さんの傷だらけの時計もそうですけどね。

広田 次元の愛用時計、しっかり劇中で確認できていないので、これを機に『ルパン三世』を改めて観直したいと思います!

 

ルパンの頼れる相棒に続く次回は、日本の国民的ドラマ『相棒』の主人公の時計をピックアップ! 第4回目もお楽しみに!

「時器放談」とは……
マスターピースとされる名作時計の数々。毎回、こだわりの1本を厳選し、そのスゴさを腕時計界の2人の論客、広田雅将と安藤夏樹が言いたい放題、言葉で分解する。上に戻る

鳥居健次郎=写真 安部 毅=文

※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール

# ゼニス# ルパン# 時器放談# 次元大介
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