旅に着けていきたい腕時計。この3本で、よりスペシャルな非日常を
映画『イージーライダー』では、主人公はバイクにまたがり、腕に着けていた時計を路上に投げ捨てたが、一方で旅の気分をかき立てる時計もある。
機能であったり、アームチェアトラベラーのように旅が楽しめるものだったり。そこには漂泊の時間が流れているのだ。
モンブラン
「1858ジオスフェール」

中央の時分針のほか、文字盤の上下に地球の北半球と南半球を俯瞰したレリーフの回転ディスクを備える。これがそれぞれ反対方向に24時間で一回転し、昼夜で色分けした外周リングで世界各地の時間帯が把握できる。
こうしたワールドタイムの機能に加え、9時位置の針はより正確な第2時間帯を表示し、実用性も高い。2018年の発表以降、独創的な機能と斬新なデザインが人気を呼び、新作では軽量かつ堅牢なチタンをケースに採用。
精悍なブルーの文字盤は、白とのコントラストで氷河や白渓など自然環境を演出し、地図上のブルーのラインはグリニッジが定める基準子午線を示す。
テーマに掲げるのは7大陸最高峰の制覇であり、このコンセプトの下、上下の地図上には7大陸最高峰の位置が小さなブルーのドットで表示されている。
目をこらさなければ見えないほどの小さな遊び心だが、冒険にかけた大いなる精神と憧憬がそこに込められているのだ。
ジャガー・ルクルト
「レベルソ・クラシック・ミディアム・デュオ・スモールセコンド」

海外での旅で便利な機能が第2時間帯表示だ。滞在地だけでなく、時差のある本国の現在時間がわかり、誤って深夜に連絡してしまうようなことも防ぐ。
こうした第2時間帯を表示するスタイルは、通常の時分針に時針をさらに1本増やしたり、サブダイヤルを設けるなどがあるが、いずれも機能重視の印象が強い。
日常から離れ、遠く異国を旅しながらも、どこか現実につきまとわれる気がしてしまうのだ。
そのふたつの時間を文字盤の表と裏ですっぱりと分けたのがレベルソ・デュオだ。
ケースを反転させるという画期的なアイディアは、ハードなポロ競技でも文字盤を破損させないために生まれた。スポーツを出自にした機構だが、空いた裏面はエレガントな装飾に用いられ、やがてもうひとつの文字盤を収める。まさに名門マニュファクチュールの面目躍如だ。
見やすいだけでなく、ケースを反転することで気持ちも完全に切り替えられる。そのメリハリが旅をもっと楽しくさせる。
ルイ・ヴィトン
「タンブール ホライゾン マット ブラック」

アイコニックなケースにコネクテッド機能を収め、その内容も“旅の真髄”を標榜するメゾンにふさわしく、旅に特化する。「マイ・トラベル」機能では、ホテル、フライト、列車などの予約状況はもちろん、出発や到着時刻を同期し、旅や移動に必要な情報をつねに手元で確認できる。
さらに「シティ・ガイド」機能は、旅先のホテル、レストラン、観光スポットなどのアドレス検索が容易にできるほか、世界30都市の見所がタッチスクリーン上に表示できる。まさに旅のスケジュール管理とガイドブック代わりに使えるのだ。新たに搭載した「ステップカウンタ」は、歩いた歩数や活動時間を記録することができ、訪れた街を散策し、ゆっくりと楽しむにも最適な機能だ。
しかも天気と気温の予報に加え、「ポリューション」機能で大気汚染の度合いをリアルタイムかつ、わかりやすく色分けして表示する。移動もままならないいまだからこそ、つぎの旅への期待がさらに高まるだろう。
「趣味時計」とは……
時計が趣味だというのは当たり前。もはや時計は趣味の頼れるサポーターでもある。海で山で街で、はたまた家で。時計と一緒に、趣味の時間をもっと遊んドケイ!上に戻る
柴田 充=文