時器放談●マスターピースとされる名作時計の数々。そこから10本を厳選し、そのスゴさを腕時計界の2人の論客、広田雅将と安藤夏樹が言いたい放題、言葉で分解する。9本目はオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」。
安藤 腕時計界のマスターピースについて語る「時器放談」も残すところ2本になりました。オーデマ ピゲのロイヤル オーク。これも外せない名作かなと思います。
スゴい時計【9】 オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」
オクタゴン型のデザインがアイコニックな「ロイヤル オーク」。1972年に誕生したとは思えないほどモダンだ。「ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン」チタンケース、39mm径、自動巻き。365万円/オーデマ ピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン 03-6830-0000) 広田 オーデマ ピゲといえば、やっぱりこれですよね。
安藤 とにかく売れているようですね。モデルによっては常に品薄状態です。この時計を語るのに外せないのが、著名ウォッチデザイナーのジェラルド・ジェンタがデザインした時計ということだと思います。
ロイヤル オークをデザインした故ジェラルド・ジェンタ氏。 広田 あ、そう、僕ね、ひとつ自慢できることがあって。生前のジェラルド・ジェンタに公式インタビューした最後の人間なんですよ。だから何って言われたらそれまでなんですけど(笑)。
安藤夏樹(写真右)●1975年、愛知県生まれ。ラグジュアリーマガジンの編集長を経て、現在はフリーに。「SIHH」や「バーゼルワールド」を毎年取材し、常に自分の買うべき時計を探す。口癖は「散財王に俺はなる!」。 安藤 世界中のジャーナリストの中の最後ですか? それはマジすごい。僕の3大“会ってみたかったデザイナー”のひとりですよ。エットレ・ソットサスにディーター・ラムス、ジョルジェット・ジウジアーロにジェラルド・ジェンタ。
広田 4人いますけど……。
安藤 まぁ、それくらい会ってみたかった人物。ジウジアーロには会ったし、ラムスは生きてるからまだチャンスがあると信じているんですが、ほかの2人は間に合わなかった。ジェンタはフリーのウォッチデザイナーですが、これってかなり珍しい存在ですよね。ほかにもいますかね、こういう人。ヴァシュロン・コンスタンタンのオーバーシーズの原型になった「222」をデザインした、ヨルグ・イゼック?
広田 とか。エディ・ショッフェルとか。ショッフェルはエベルのウェーブを作ったり、タグ・ホイヤーやブライトリングでも仕事した人です。
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