スマートウォッチ「Fitbit Versa」は、むしろ運動嫌い向けだった?
オッサンの秘密兵器! 37.5歳に贈るハイパー・ガジェットVol.23
日々登場する最新ガジェット。かつて夢見たような機能が満載の製品があちこちで産声を上げている。ただメカ好きのオッサンといえど、昭和世代。なかなか対応しきれないのが事実……。そこで最近登場したハイパーな機能とともにオッサン向けの使い方をレクチャー。さあ、魅惑のテクノロジーの世界へご案内!
そろそろ健康には気を配りたいし、できればシェイプアップされたボディも手に入れたい。とはいえ、あんまり“やる気”を見せすぎるのもカッコ悪い気がするし……。なんて、複雑な思いを抱く40代にこそオススメしたいのが、多機能活動量計「Fitbit(フィットビット)」シリーズの流れを汲み、6月に発売されたスマートウォッチ「Fitbit Versa(フィットビット ヴァーサ)」(実勢価格:約2万5000円)だ。
フィットビットといえば、エクササイズやフィットネスに対する意識が高い “前のめり”な人御用達というイメージが強いが、実際のところはどうなのか。見た目から機能面まで、オッサン目線でレポートします。
外観は“チープカシオ”系。かなり豊富な文字盤のバリエが強みとなる
スマートウォッチ=時計と考えた場合、やはり気になるのはデザインだろう。角が丸い正方形(約35mm四方)のケースが特徴的なヴァーサ。似たような形状のApple Watch(アップル ウォッチ)に比べ、若干高級感では劣るものの、カジュアルやスポーティなファッションであれば、相性は悪くない。チープカシオ系ととらえれば、オッサンでも自然な“着こなし”ができそうだ。レザーやステンレスなどバンドのバリエーションが別売りで用意されているので、TPOに応じた着せ替えも楽しめる。
ファッション性という点で大きな魅力を感じたのは、文字盤の種類が豊富かつ、容易に変更が可能なところだ。デジタル、アナログ風はもちろん、スマートウォッチならではといえるユニークなデザインの文字盤が、何百種もアップロードされており、スマートフォンの設定画面から、自由に交換できるようになっている。

自分のコンデションを常にチェックしていたいなら、心拍数や消費カロリーなどが表示されるタイプ、ファッション性を重視するならデザイン性の高いもの、というように目的にあわせて文字盤を選べるのは、かなり使いやすく感じた。
バッテリー持ちの良さはピカイチ。睡眠記録機能も面白い
続いて、機能面を見ていこう。フィットビットシリーズの流れをくむヴァーサは、やはり健康やフィットネス系の機能が充実している。心拍センサーにより、心拍数の変化を常時モニタリングできるほか、歩数や消費カロリーなど健康管理の基本となる情報も、装着しているだけで自動的に記録してくれる。
フィットビットシリーズと連携するタイプの体組成計があれば、体重や体脂肪率もあわせて管理することも可能だ。

健康管理系で特に面白かったのが、睡眠の質を記録する機能。ヴァーサを装着したままベッドに入れば、就寝したかどうかを自動的に判断し、起床するまでの間の睡眠状態を記録してくれるのである。過去の履歴や、同世代の平均と比べた自分の睡眠状態などがチェックできるのも、健康管理に役立ちそうだ。

スマートフォンのアプリにも似たような機能を持つものがあるが、就寝のタイミングを自己申告しなければならないのが不便なところ。かつて、何度か使ってみたことがあるのだが、眠くなったところでボタンを押す操作をしたせいで目が覚めてしまい、かえって睡眠の質がさがった経験があるので、自動的に計測を始めてくるのは、かなり有難いと感じた。
そして特に触れておきたいのが、ヴァーサのバッテリーの持ちの良さだ。アップル ウォッチやグーグル(Wear OS)のスマートウォッチでも、使い方を工夫してもせいぜい2日弱でバッテリーが切れてしまう機種がほとんど。実はヴァーサと同様、自動的に睡眠状態を計測する機能を持つスマートウォッチもあるのだが、バッテリーの持ちを考えると、装着したまま寝ることができないのが実情なのである。
その点、ヴァーサはバッテリーの節約を意識せずとも、余裕で4日間は充電の必要がなかった。充電速度も速いので、お風呂に入る間に充電しておくといった使い方をすれば、バッテリー切れを心配せず、ほぼ常時装着したままで生活ができるだろう。
多様なアプリの追加が可能。メッセージの受信にも細かく対応
健康管理系以外の機能も、他のスマートウォッチに比べ、遜色はない。
天気予報やタイマーといった、よく使うアプリは標準インストールされているし、カレンダー(予定表)やマップなどのアプリを、追加することもできるようになっている。

スマートフォンにかかってきた電話や受信したメールなどの通知機能も、ちゃんと用意されている。簡単な返信も可能だ。ヴァーサで通知するアプリを個別にオンオフできるので、急いで確認する必要あるものだけ腕から知ることができるのは、細かなところだが、よく考えられている。

操作せず“スマート”さが享受できる点が魅力。目立ちにくいのもオッサンにはメリット?
ここまで、あえて触れてこなかったのだが、フィットビットシリーズである以上、当然ながらフィットネスやエクササイズ関連の機能は充実の一言では片づけられないほど、盛りだくさんになっている。
「オンスクリーンワークアウト」を使えば、ヴァーサのモニタに表示されるアドバイスを見ながら、各種のワークアウトを実践できるほか、50mまでの防水仕様なので、水泳などプールの中で行うアクティビティにも使えるのは、Fitbitシリーズならではの魅力といえる。
こうした機能の充実を考えれば、フィットビットシリーズがアクティブな人々から熱烈に支持されてきたのも頷ける話ではある。その反面、そこまで運動に対して前のめりではない層からすれば、あえてフィットビットを買う必要はないかな、と思っていたのも事実だ。
しかし、実際に半月ほどヴァーサを試用してみて、実はどちらかと言えば運動嫌いという人にとっても、これなら使えるのでは? と感じてしまった。
とにかく、あれこれ“楽ちん”なのである。ここまでに紹介した健康管理系のログ機能はもちろん、運動系に関しても、ランニングやサイクリングなど基本的な運動なら、アプリを起動させなくても計測してくれるのが、なんといっても大きな魅力。ライトな使い方なら、ほぼ何も操作しなくてもヴァーサのメリットを享受できてしまうのだ。
加えて、バッテリーの持ちもかなり良いので、普通の時計に近い感覚で利用できるのも良いところ。その点で言えば、リストバンド型のフィットビットシリーズに比べ見た目が普通の時計に近いので、「オレってアクティブ!」という印象になりにくいのも、複雑なお年頃の40代にとっては、時計タイプのヴァーサならではなメリットとえるかもしれない。
実は、すでに別のスマートウォッチを使っているのだが、今後はこちらに乗り換えたほうがよいかも、と思ってしまいましたよ。
人々の石井敏郎=取材・文