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2018.03.04

時計

エルメス、オメガ、セイコー……この名作時計が選ばれる理由【後編】

腕時計には時代を超えた名作がたくさんある。それぞれが個性的で、すべて魅力的。だから、どの一本を相棒に選ぶかは、すごく迷うものである。なぜなら腕時計は男にとって“名刺代わり”だから。
そんな迷いを振り払い、理想の1本を手に入れるためのガイドとして、前・後編の2回に分けて計9人の名作時計の愛用者たちにインタビュー。今回は後編。
「なぜ愛用してる?」「どこが好き?」「いつ買った?」。
さぁ、楽しもう! 運命の時計との素敵な出会いを!
>前編はコチラ

名作腕時計⑤
オメガの「スピードマスター」

「モノ語りも機能も充実、それでいて着けやすい。人生の相棒です」
白藤悠介さん(38歳・会社員)
「もう20年くらい前、大学生になって本格的にバイトを始めて、お金を貯めて最初に自分で買った大きな買い物が『スピードマスター』でした。オメガは憧れで、どうしても欲しかったんですよね」。
月に行った初めての時計がオメガの「スピードマスター」というのは有名な話。さらに1965年から現在まで、すべてのNASAによる有人宇宙ミッションに採用されているという事実が、昭和生まれのオーシャンズ世代の心に刺さるのだ。
「もう人生の半分以上一緒に過ごしてきているので、腕にこいつを着けていないと不安になります」と白藤さんは笑う。
1957年の登場以来、オメガにおけるフラッグシップモデルと位置付けられる名作は、30分積算計、12時間積算計、スモールセコンド サブダイヤル、タキメーターが搭載され、そのルックスは実にスポーティ。42mm径のケースサイズは、カジュアルからスーツまで幅広く馴染む。
「メタルバンドの機械式時計はこれ1本でOK、一生の相棒ですね。あとはレザーベルトで1本、そして普段使いのGショックがあれば、僕の時計コレクションはコンプリートかなと思っています」。
街角で見つけたオメガ傑作選

 

名作腕時計⑥
エルメスの「ケープコッド」

「20年かけてわかった“これ以上のモノはない”という事実」
平山喜久さん(45歳・会社員)
「もう20年の付き合いです。昔からファッションが好きで、なかでも夢中になっていたジョン・ガリアーノが着けているのを見て、堪らなくなって購入しました」。
時計専業ブランドの名作が並ぶ中にあっても、その語りどころにおいてまったく引けを取らないエルメスの「ケープコッド」。なかでも特筆すべきはデザイン性の高さだろう。世界的なファッションデザイナーであるジョン・ガリアーノが惚れたという事実も、その証明のひとつ。1998年には2重巻きのロングストラップを採用した「ドゥブルトゥール」モデル(写真下)も誕生し、一躍話題になった。
「現行の『ケープコッド』もチェックしてますが、自分が買った20年前のこのデザインがやっぱり自分にとっていちばんベスト。一緒に大人になってきたので、これからもこれ以上の愛着が湧く1本は出てこないと思います。以前は2重巻きのベルトの『ドゥブルトゥール』を使っていましたが、今はブラックのクロコベルトに変えています」。
普遍性を持った名作を、少しずつアレンジして楽しむ平山さん。もちろん「一生使い続けます」と宣言してくれた。
街角で見つけたエルメス傑作選

 

名作腕時計⑦
セイコー プロスペックスの「ダイバースキューバ」

「海外にいたからわかる、世界基準の日本ブランドの魅力」
松尾太起さん(38歳・会社員)
「海外に長期間留学していた時期があって、そのときに、壊れにくくて信頼できる日本のプロダクトって魅力的だなって思ったんです。向こうの人にも褒められますね。それでグランドセイコーを愛用していたんです。そしてコレは、仕事仲間とアウトドア遊びをするときに、もうちょっとタフなものが欲しくなって購入。使ってみて、デザインの良さと頑丈さは世界屈指だなぁと満足しています」。
セイコーがダイバーズウォッチ業界に参入したのは1965年。世界に名だたるブランドと比べれば、いうまでもなく後発だ。しかし、わずか3年後には300m防水のダイバーズを完成させ、そのレベルは早くも世界と比肩するものに。松尾さんが愛用する「ダイバースキューバ」は、世界初のチタン製大深度潜水用モデルをタウンユース向けにコンパクトにアレンジしたモデルとなる。
「水も気にせず使えて、機能性が高くて、ガシガシ使ってもヘコタレない。ジャパンクオリティの腕時計は、やっぱり着けていて安心だし、日本人としてうれしくなりますよね。初めてのダイバーズですが、これからずっと使っていきたいです」。
こんなに優れた国産ダイバーズウォッチがあることを、日本人として誇りに思う。その気持ちに、大いに共感する。
街角で見つけたセイコー傑作選

 

名作腕時計⑧
ハミルトンの「カーキ フィールド オート」

「時計も人も、気を使わない関係でいられるのが理想です」
宗像 勉さん(45歳・会社員)
いわゆる高級ブランドの1本を長く使っていたという宗像さん、しかし、「普段使いにはちょっと気を使うんですよね」と話す。
「僕は腕時計を毎日着けるから、いつでも気負わず使えるものが欲しいと思って。だから、仕事でも使えるメタルバンドの『カーキ フィールド オート』を購入したんです」。
アメリカをルーツに持つ時計の多くは、ミリタリーウォッチの生産によって、その技術力を高めてきた。1892年に創業したハミルトンもそのひとつ。宗像さんが愛用する「カーキ フィールド」も第2次世界大戦中にアメリカ軍に納入していたモデルをルーツとし、堅牢なステンレススチール製のケースや視認性の高いインデックスにその面影を伺わせながらも、38mmの手頃なサイズ感はスタイルを選ばない。また、100mの防水性を誇る同モデルはアウトドアシーンでも人気を集める。
「ストライプのリボンベルト2本とカーキのNATOベルトを1本持っていて、シーンによって付け替えては楽しんでます。自動巻きの少し小さめな見た目は、ビジネスでも使う自分にしっくりきますね。やっぱり時計も人と一緒で、“気を使わない関係”が長続きの秘訣です」。
街角で見つけたハミルトン傑作選

 

名作腕時計⑨
フランク ミュラーの「カサブランカ」

「ヨーロッパの街並みが、その魅力と出合わせてくれた」
北野 栄太郎さん(46歳・ 会社員)
「出会いは2012年のギリシャのミコノス島なんです。リラックスするために予定もあまり決めずに行った旅行で、街並みを見ながらふらっと入ったお店にいたんですよ! コイツが(笑)」。
フランク ミュラーといえば、ひと目でそれとわかるアイコニックなデザインと、時計師フランク・ミュラーが生み出す超複雑機構。創業1992年という新進ながら、息の長い名門揃いの時計界で瞬く間に人気ブランドとなった。
北野さんが愛用する「カサブランカ」は、そんな同ブランドの顔ともいえるモデル。1942年に公開された名作映画にちなんだ名を冠し、ステンレススチールケースをブランドで初めて採用。また、その特徴的なインデックスに蓄光塗料を採用しているのは、薄暗いヨーロッパ旧市街での視認性を確保するためだとか。
「その店に何日か通って、スタッフとも仲良くなって、旅の気分にも合ったので購入を決めました! スポーティなのに華があるデザインで、カサブランカ以上なものには、まだ出会っていないですね」。
北野さんがギリシャのミコノス島で衝動買いした「カサブランカ」は、当時の想い出とともに、これからも時を刻んでいく。
 
以上が今回出会った名作時計の数々。これらを手にした背景には、やはりそれぞれの強い想いやストーリーが存在した。今度はぜひ、あなたの腕時計物語を聞かせてほしい。


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