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2021.08.27

ライフ

「部下に好かれることを意識する」上司は、20代から嫌われる


「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……

好かれようとするから嫌われる

この連載の最終回として、天に唾を吐くようなテーマですが、そもそも上司は部下に好かれなくてはいけないのかについて考えてみたいと思います。
ふつうに考えれば、嫌われるよりも好かれたほうが良いに決まっています。ただ、好かれることを第一の目標にして、部下にいろいろな働きかけをすると、結局、意図とは正反対になってしまうことも多いのではないかと私は思います。
なぜなら、部下に好かれようとすることは、部下という他人の行動や思考をコントロールしようとすることだからです。一般的に人は自分の行動を誰かにコントロールされることを嫌うものです。
 

行動はコントロールできても、思考は難しい

上司(管理職)には、組織によって職務権限が定められていますから、その範囲において何かを決定し部下に行動を指示することはできます。
具体的に「このように行動せよ」と言えば、内心はどうあれ、ふつう部下はその通りに行動するでしょう。行動しなければ業務命令違反になり、最悪の場合解雇されてしまうかもしれないというプレッシャーがあるからです。
それを勘違いして、上司が全能感を持ってしまい、「自分は部下をコントロールすることができる」と思うと問題が起こります。
行動は目に見えるのでコントロールできますが、思考は目に見えないので、コントロールできたかどうかが本来わからないからです。
 

思考は自然に発生するもの

部下に対して「このように考えろ」と言っても、「はい」という発言は引き出せても、本当にそう考えてくれているかなどわかりません。
もっと言えば、思考というものは自分であってもコントロールできないものです。何かを見て、何かを感じて、何かを考えるという意識の流れは自然に発生するものであり、人間には厳密な意味での自由意志はないのではないかと思います。
どんな思考も、これまで得てきた経験や知識をもとに、環境からの刺激を受けて発生するわけです。
このように自分でもコントロールできない思考を、他人から強制されても、「そんなこと言われても、どうしようもない」となるのは当然でしょう。
「私を好きになれ」という命令は、世界でいちばんむなしい命令かもしれません。


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