OCEANS × FLUX Vol.13
2021.06.08
LIFE STYLE

「ミッドセンチュリーモダンが好き」ハワイでデザインインテリアを再生する男の手仕事

当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら

ハワイを拠点にミッドセンチュリー家具の修復師として活躍するジョン・レイノさん。インダストリアルアートの技術とミニマリストデザインへの情熱をかけ合わせ、捨てられた家具に新たな命を吹き込む彼が修復師になったきっかけとは。

カイルアの海辺にあるジョン・レイノさんの家には、ミッドセンチュリーの美学が息づいている。

溶接工、デザイナー、コレクターの顔を持つレイノさん。リビングルームに集められた家具は、捨てられた家具を拾って修復したものだ。しかもただの家具ではない。

チャールズ&レイ・イームズのラウンジチェア、エーロ・サーリネンのチューリップテーブル、ハルトムート・ローマイヤ(Hartmut Lohmeyer)が手掛けたウィルクハーン社のソファなど、伝説的なデザイナー家具を選りすぐり、絶妙に組み合わせているのだ。

ガラス製の引き戸の向こうに見える裏庭では、レイノさんの最新作、錆び付いたウォルター・ラムの長椅子が木の下に置かれていた。「この時代のデザインに夢中なんです」とレイノさん。

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「すべてが非常に洗練されていて、使い捨てとはまったく違います。じっくり見てみれば、細部の細部までこだわっていることがよくわかりますよ」。

家具を集め、修復することへのレイノさんの情熱は、どうやら子供時代まで遡ることができそうだ。「僕の家はとても貧乏で、6人の子供たちでふたつの寝室を使っていました。いつも窮屈でしたね」と51歳になったレイノさんは振り返る。

「母に連れられて廃品回収に出かけました。食料を買うためでしたが、母は僕らにやる気を出させるために、見つけたものの一部を持ち帰らせてくれました。僕は芝刈り機、自転車なんかを持ち帰り、分解してはまた組み立てたりしました」。

高校で工作実習を履修していた際に、金属で修繕する鋳かけを始めた。高校卒業後すぐ、双子の兄と一緒にカリフォルニア州のコスタメサで溶接工房を開業。23年間、兄弟揃って毎日遅くまで働き続けたが、レイノさんは人生に変化が必要だと思った。

「ふたりとも燃え尽きちゃったんです。どこか暖かくてトロピカルな場所に移りたかった。しかも安全な場所に。そこで思いついたのがハワイ。だって一応アメリカ国内だから」。こうして2007年に兄弟は工房を引き払い、レイノさんはオアフに引っ越した。大工として腕を振るい、廃屋を再生する仕事を始めた。

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怪我が家具修復へ情熱を注ぐキッカケに

そして2年前、ようやく私生活が落ち着いてきた矢先、窓枠を交換している時に屋根から落ちて両足首を骨折してしまう。レイノさんは何カ月もの間、寝たきりになった。

今でも歩くときには足を引きずっている。ところが、災いが転じて、療養中にミッドセンチュリーモダンの家具に興味を持つようになった。

「急に自由な時間ができたから、インターネットで自分が持ち帰れるようなお宝を探すようになりました。でも自分で動けなかったから、ガールフレンドにお願いして実際に取りに行ってもらうなんてやりすぎたミッションもありました。すっかり夢中になってしまってね。車椅子生活だったときも、木材を切ったり、ヤスリをかけたりしていましたよ!」。

ここ数年は、自宅を開放したセールやヤードセール、スワップミートなどに出向いたり、インターネット広告サイトのクレイグスリストや道ばたでも、彼が呼ぶところの「見込みあり」の戦利品を見つけている。

「例えば、ここにあるものは、いつもどうやって見つけたんだと驚かれます。でも、世界中の人々がハワイに訪れては、(ハワイを離れるときに)皆ここに残していくんです」。

それらの一部が、レイノさんの海岸沿いの工房にやってくる。工房では、壊れていたり、捨てられていたりした家具が分解され、組み立てられるのを待っているのだ。新しい命を吹き込まれたものは、待ち望んでいた顧客の手に渡ったり、自分の仕事をシェアしているインスタグラムにアップされたりする。

特に気に入っている修復作品に、アルテルーチェ・トリエンナーレのフロアーランプ、ハンス・オルセンのテレビボード、リチャード・シュルツのペタルテーブルなどがある。

レイノさんは「この時代のデザインについて、皆に知ってもらうようなこともやりたいな」と言い、「家具には本当にクールな可能性が詰まっているんです。クリエイティブに、そして忍耐強く取り組めばね」と続けた。

レイノさんの活動に関する詳細は、インスタグラムアカウント@hawaii_modern にて。

 

ケリー・グラッツ=文 写真=ジョン・フック 翻訳=上林香織

This article is provided by “FLUX”. Click here for the original article.

# インテリア# ハワイ# フラックス# 家具
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