「犠牲にしたもの何もありません」という、自然と人が集まる家
家具先行という常識破りな家造りをしたR.K.さん。彼の家には、週末になるとたくさんの人が集まるという。
素敵な大人たちが集い楽しむ空間は、こうして作られるのだろう。
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仕切りをなくすことで、仲間との時間がさらに充実した

「この家を建てる前は、福岡市内のマンションに10年ほど住んでいました。場所的にはとても便利でしたが、年を重ねるごとに、いろんな意味で私生活を見直したいなと思ったんです。
自分好みの自宅を作って、楽しい仲間とともに、できるだけ楽しい時間を過ごしたい。仕切りをなくしたことで、仲間との時間がさらに充実したものになるように感じます」。
R.K.さんは、とてもオープンマインドな感じで来客を歓迎する。そのホストぶりにはどこかコスモポリタンの匂いが漂う。
聞けば「中学生の頃から14年間、アメリカに住んでいたんですよ」とのこと。アメリカの大学を卒業後、故郷に戻り家業を継いだのだそうだ。納得。

そうそう、“2人”の家族が同居していることもぜひ付け加えておきたい。ワイマラナーのレオン(7歳)とウィペットのスヌープ(3カ月)。
可愛らしい犬たちとともに過ごすことで、R.K.さんの暮らしはますます楽しさを増していくに違いない。
素敵な大人たちが集い、楽しむための場所

インテリアを見て、書斎を見て、ガレージを見てわかるとおり、R.K.さんは非常に多趣味な人物である。そしていずれの趣味も高いレベルを追求していると思う。そのうちのひとつ、音楽をピックアップしてみよう。
玄関から室内を見たときに、正面の壁に据えられその存在感をアピールしているのが、2台の無骨なスピーカーと味わいを感じさせるアンプ類だ。アナログレコードを柔らかい音で聴くために、ヴィンテージの機材でシステムを構築。それでも本人は「詳しい先輩たちの指導を仰いでいるだけです」と謙遜する。

「音楽のジャンルも広く浅くですし、DJも素人遊びの範囲。ただテレビをあまり見ない生活をしてきたせいか、音楽が欠かせないものになってしまったんですよね」。
プロジェクターでDVDを楽しむときには、別回線の出力システムに変更するのだとか。
さて、R.K.さんのそのほかの趣味を挙げていこう。ヴィンテージカーでドライブしたり、カスタムに凝ったりと車遊びにも造詣が深い。
ロードバイクでツーリングを楽しむこともあれば、自宅でヨガのセッションを行うこともある。

13〜14年前から始めたサーフィンに見事にハマっている。この家に素敵な雰囲気が漂うのは、R.K.さん自身が素敵な大人であるから、なのかもしれない。
「集めてきたレコードやDVD、家具、照明、そのほかインテリア、書籍や写真集にいたるまで、この家を作るに当たって犠牲にしたものは何ひとつありません。
もし犠牲にしたものがあるとしたら、それは自分ひとりの時間や空間でしょうか。何せ週末にはたくさんの人たちが、この家を訪れてくれますから」。
HOUSE DATA
竣工:2016年
構造・規模:木造・地上1階
敷地面積:約250坪
建築面積:約50坪
設計:テトラデザイン http://www.tetradesign.co.jp
間取り:キッチン、ダイニング、リビング、ゲスト用スペース、書斎の広々としたワンルームと、寝室、バスルーム。敷地内にはプール、ガレージ、テラス。多種多様な植物をレイアウトした植栽は、横浜の植木商フルヤプランツによるもの。季節ごとのメンテナンスが欠かせないのだとか。
清水将之、山本雄生、川崎一徳=写真 加瀬友重=文