「37.5歳の人生スナップ」とは…… 近年、キャリアや生き方を考えるときに「移住」という選択肢がメジャーになりつつある。
故郷へのUターンはもちろん、海が好きで海のそばに移住する人もいれば、好きな町を見つけてそこでの暮らしを実現するために引っ越す人もいる。あるいは地方自治体が募集する移住プロジェクトに応募する人もいる。
羽田知弘さんが岡山県西粟倉村(読み:にしあわくらそん)に6年前に移住したのは、転職がきっかけだった。後述するがこの村の基幹産業は林業であり、羽田さんが働いているのも木材会社だ。
狩猟、畑。自分の力で生きる山村ライフ
羽田さんはサラリーマンとして働きながら、この村ならではの暮らしを実践し、楽しんでいる。そのひとつが狩猟だ。
「25歳で移住してきた当初、シェアハウスに住んでいたんです。そのときのシェアメイトが狩猟をやっていたんです。それで自分も興味を持って、くくり罠猟の免許を取りました」。
くくり罠とは動物が踏むと足が括られる仕掛けの罠で、イノシシや鹿を捕らえるのに使われる。
「猟期(西粟倉村の場合11月15日〜翌年3月15日まで)には、朝の出勤前とか夕方に山に仕掛けておいた罠を見回りに行きます。
イノシシや鹿は畑を荒らす害獣でもあるので、村の人に頼まれて畑の脇などに罠を仕掛けておくこともあります。捕った獲物は村の加工場に持っていって捌いて食肉にしたり、休日は自分で捌いて食べることもありますね」。
猟期でない春夏の羽田さんの日課は畑仕事。自分と妻が食べるためにいろいろな野菜を育てている。羽田さんの西粟倉村でのライフスタイルは自給自足生活の実践というわけだ。
「お金を払ってなんでも買える時代だけれども、自分で手を動かして食べ物を手に入れる、自分の力で生きるということにずっと興味があったんですよね。
子供の頃、父や祖父に連れられてよく川に行ったり山に入ったりして、よもぎを摘んだり、アユを釣ったりしたんです。そういう “サバイバル体験”をしていたことも影響しているかもしれませんね」。
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