自転車ライフ 2.0 Vol.16
2020.09.19
LIFE STYLE

シンガーソングライター・奇妙礼太郎と自転車の、世にも奇妙ないい関係

「自転車ライフ 2.0」とは……

3月、インスタグラムに #東京大阪自転車小旅行 というタグが付いたこんな写真がポストがされた。

熱海駅とSURLYのロードバイク。写真の日付は’98年だが、撮られたのは2020年。

熱海駅に停められたSURLY(サーリー)のロードバイク。持ち主は、大阪出身のシンガーソングライター・奇妙礼太郎さんである。

「一週間くらい暇ができたので、東京・大阪間を自転車で往復してみようかなと」。

なるほど。となれば、何日で完走した? この旅の感想は? と、気になることがムクムク頭を占領してくるが、旅の物語は一気に急展開を迎える。

「東京を出て初日に小田原、2日目に静岡に泊まって3日目の朝、大阪に住んでいる友達の松井くんから今夜呑もうよって誘われて」。

まさか!

「それもいいなと思って予定を変更して、自転車とともに新幹線に乗って。それからしばらく、大阪で暮らしてました」。

#東京大阪自転車小旅行、最終の地となった静岡での1枚。

驚きである。しかし、これをきっかけに奇妙さんは、大阪でも“自転車のある暮らし”を手に入れる。ライブで関西方面へ頻繁に行っていたことを理由に、かねてから東京と大阪のデュアルライフを構想していた奇妙さんは、自転車をそのまま大阪に置いて東京に帰ることにしたのだ。

「滞在中に事務所を借りたんです。行きつけの飲食店はそこから2km先だし、自転車は大阪にあった方が明らかに便利だなと思って。当初の予定ではそんなつもりはまったくなかったんですけど」。

奇妙礼太郎●1976年生まれ、大阪府出身。ミュージシャン。2008年より奇妙礼太郎トラベルスイング楽団として活動。解散後、アニメーションズ等のバンド活動を経て2017年にメジャーデビュー。趣味は自転車、カメラなど。

偶然なのか必然なのかわからないが、奇妙さんのデュアル自転車ライフはこうして始まった。では、これまでの自転車遍歴はどうだったのか。まずは出会いから振り返ってみよう。

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自転車と、運命の出会い

「2004年頃にネットで自転車ショップを見てたら出てきたんです。シュウィン(SCHWINN)ていうアメリカのメーカーの自転車。今みたいに街でロードバイクとかほとんど見かけなくて。なんなら、なんでそんなん乗ってるの? 変わり者みたいな感じありました、当時。で、まあ自転車のこととか全然わからないけれど、ドロップハンドルが格好いいなと思って乗ってみたくて買いました。5万円くらいだった」。

これが、奇妙さんが大人になってから手にした自転車の初代。以来数台を乗り継いできた。しかし、4~5年ほど自転車から遠ざかっていた時期があったという。

「大阪から東京に引っ越して車が移動のメインになったのが大きいですけど、何となく乗らなくなって。それが、去年からキャンプやスキンダイビングを始めて“カラダを動かす遊びって楽しい!”と思うようになったら、また自転車もいいかもと気になって、調べ始めたんです」。

奇妙礼太郎と自転車のいい関係
今回の取材時の相棒もSURLYの「クロスチェック」。

そんなある日、奇妙さんはSURLYの「クロスチェック」と再会を果たす。そう、#東京大阪自転車小旅行の相棒である。しかし“再会”とは?

「実は同じ自転車を数年前に手放していて。当時乗っていたのは色違いのブラウンで。阿佐ヶ谷にあるマシューサイクルさんのインスタでこの黄色のフレームを発見したとき、いい色だなあと思って」と、晴れて購入。ショップで組み上げてもらうことになるが、こだわりは?

組み上げる前のフレーム。

「ほぼほぼマシューサイクルさんにお任せでお願いしました。いまだに特に詳しいわけではないので。ただ、世界中のどの自転車よりも、僕のが格好いいです(笑)」。

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奇妙さんの、もう一台の本命話

奇妙さんが今、溺愛する愛車事情はよくわかった。つまり、今はこの一台にゾッコンということ?

「クロスチェックを買ってから自転車やっぱり楽しいなと思って。Instagram見てたらだんだんMTBのすごい映像流れてくるようになって。それを観てたらもうどうしても欲しくなってしまって。なので1カ月後に、勢い余ってマウテンバイクまで買ってしまいました(笑)」。

それが、スタントンバイクス(STANTON BIKES)の「スイッチバック」というマウンテンバイクだ。完全なる遊び用として乗り分けているという。

奇妙礼太郎が愛用する自転車
スタントンバイクスは、英国の人気自転車ブランド。クロモリフレーム。

「ロードバイクとはまったく別物と思っていて、移動の手段ではなく、アウトドア遊びの延長として楽しんでいます。山を走ったり、ジャンプ台を跳ねたり、それこそアトラクションのような感覚があって、とても新鮮!」。

2台の愛車と街から山へと駆け巡り、自転車ライフを謳歌している奇妙さん。ところで、ロードバイクの機動力を失った東京での生活は今、どうなっているのか? 聞いてみよう。

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もう、自転車はいらない!?

ひょんなことから東京と大阪でのデュアルライフが始まって早数カ月。奇妙さん曰く、それぞれの拠点での生活を満喫しているらしい。でも、東京での“足”がなくなったと思うと、不便も多いのではないか。

阿佐ヶ谷で手に入れたSURLYの「クロスチェック」は、すっかり大阪が定位置に。

「東京の足、仕事の場合は基本的に車です。機材も同時に運ぶので」。

なんとも拍子抜けしてしまうが、東京専用の愛車は不要だと?

「あればいいんですけど、自転車の代わりに電動のキックボードというのもいいなと思ってたりします」。

どひゃー! どこまでもフリースタイルな奇妙礼太郎さんの自転車ライフ。でも、このくらい自由に付き合ったほうが気楽で楽しいのかもしれない。付かず、離れず、自分の距離で。生活必需品とも、単なる移動手段とも違う奇妙さんと自転車の、奇妙だけど良好な関係は、この先もまだまだ続きそうだ。

 

「自転車ライフ 2.0」とは……
環境や体型の変化だったり、身近な先輩の姿に憧れたり。ハマった理由は皆異れど、自転車にかける想いは誰もが強く、深い。自分好みへと仕様を変えた相棒と日々暮らす、同世代の自転車ライフをパパラッチ。
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戸叶庸之=編集・文

# シュイーン# ロードバイク# 奇妙礼太郎
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