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2020.08.10

ライフ

山が好きで移住したWEBディレクターが、なぜかビール醸造家になったワケ


「37.5歳の人生スナップ」とは……
ビール醸造家の朝は早い。4時半起きだという。
「というのは、仕事のためではなくて、明るくなると鳥が鳴き出すので、うるさくて目が覚めちゃうからなんですよ」。
そんな自然豊かな東京・高尾で作られているその名も「高尾ビール」は、2017年にデビューした。作り手は、元会社員でWEBディレクターをしていた池田周平さん。
まず、池田さんの1日をざっと紹介しよう。朝4時半に起きたあとは、妻と一緒に育児や家事をし、自宅から車で15分ほどのブルワリーに出勤するのは8時半。スタッフは池田さんだけだ。仕込みから配達、事務処理などをひとりで手掛け、業務を終えるのは午後4時半。夏ならまだまだ明るい時間だ。
「仕事のあとはちょっと山に寄ったり川に寄って釣りしたりしてから、帰宅します。夜は9時半には寝ちゃいます。朝早いんで(笑)」。

ブルワリーは、もともと織物工房だったという畑や住宅に囲まれた建物。明るいクリーンな白い空間に、銀色に光る釜や発酵タンクが並んでいる。意外とこぢんまりとしていたそれは、「工場」ではなく「工房」といった印象。
「うちの生産量は月に900〜1000Lくらいで、小規模生産のいわゆるマイクロブルワリーです。製造したビールは、基本的に高尾や八王子周辺の酒屋さんや飲食店に卸しています」。
通販はやっていない。高尾ビールは、地元で作って地元で消費する、ということを掲げているからだ。
そんなブルワリーを、元サラリーマンがどうやって始めたのか、そのきっかけや想いを探ってみた。


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