Camp Gear Note Vol.23
2019.12.01
LEISURE

幻のアメリカンブランドを日本で復刻。「ロッキーマウンテン フェザーベッド」のブランドヒストリー

連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。

ロゴ

1960年代後半にアメリカ・ワイオミング州で誕生した「Rocky Mountain Featherbed(ロッキーマウンテン フェザーベッド)」。ネイティブアメリカンのレザーケープを参考にした、一枚革のウエスタンヨークがアイコンであるダウンウェアは、カウボーイを中心に高く評価された。

’70年代半ばには当時最高の先進素材、GORE TEX(ゴアテックス)をいち早く取り入れたマウンテンパーカをリリース。さらなる成長を期待されていたが、’80年代後半にブランドが消滅してしまう。

しかし、時を経た2005年、ここ日本で復活。そこにはどういった経緯があったのか、プロダクトへのこだわりも含めて株式会社35SUMMERSの信岡 淳さんに話を聞いた。

信岡さん
製品企画やPR全般を担当している信岡さんは、ブランドの復活から現在までを自身の目で見てきた。
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アメリカで失われたコレクションを日本で蘇らせる

——アメリカで誕生したブランドを、日本で蘇らせるにあたりさまざまな苦労があったのでは?

オリジナルの創設者が、一切資料を残していなかったんです。このブランドが’90年頃に姿を見せなくなり、情報はゼロ。ヴィンテージコレクターにして当社の代表である寺本欣児が復刻を実現させたのですが、現物を見て製作するしかない。そこで寺本が長年にわたり大量に収集してきたコレクションがサンプルになったわけです。

実際、オリジナルがいつからスタートしていたかも、ゴアテックス社の素材を採用した「ロッキーマウンテン フェザーベッド」製マウンテンパーカに付けたラベルの種類によって、なんとなく’60年代後半と判断しているだけ。ゴア社は年代によってタグのデザインが変わるから、という手がかりだけなんですよ。

信岡さん
オリジナルの情報は紙での資料が本当に少ないため、世界有数のヴィンテージコレクターである寺本氏のコレクションが見本に。

——つまり、パターンはおろか、生地の組成も“謎”だったんですよね?

もちろん! 看板といえるダウンベストの生地は、オリジナルの風合いを再現するため何度も試行錯誤してたどり着いた70Dナイロンタフタ。一般的なナイロンより打ち込み本数が多く高密度で、圧力と熱によって表面を滑らかにするシレー加工が施された素材となっています。コーティングしなくとも防水性があり通気度の高いナイロンなのですよ。ナイロンに通気度がないとダウンが膨らまないんです。

——「ロッキー マウンテン フェザーベッド」という商標の取得は順調に進んだのですか?

’84年にオリジナルの商標は消失しており、日本では2005年に取得しましました。翌年にアジア圏とEU圏の取得ができたのですが、肝心のアメリカが困難でした。何しろアメリカ本国での小売り実績が証明できないと再獲得が無理なのです。

ですが、すでに自分たちは輸出を2006年から行っており、当地で取り扱ってくれていたロンハーマン、アメリカンラグ シー、ブルーミングデイルなどのショップや百貨店にお願いして売り場の写真を送ってもらい、なんとか取得することができました。

信岡さん
クリスティベストとダウンベスト、いわゆるベストが1stプロダクトであり、現在もブランドの顔的存在。

——ブランド復活直後から本国の有名セレクトショップが扱うほどだったようですね。

1stプロダクトであるダウンベストをリリースし始めたのは2005年から。正直、出来映えに自信がなかったし、売り上げもイマイチでした。実は欧米ではブランドとしての認知が浅く、日本に至っては“新しいブランド”と捉えられてしまったんです。オリジナルの魅力を訴求し切れておらず、プロダクトとしての説得力が皆無だったのでしょうね。でも、そういう市場に救われて新しくスタートできたのも事実です。

信岡さん
ヴィンテージの風合いを再現するため、生地作りからこだわった。
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理想を実現するため素材も自分たちで試行錯誤

——それが今では憧れアウトドアブランドのひとつにまでなっています。

’07年に現在使用しているのと同じ70Dナイロンが完成します。まずこれが転機でした。また、当時の我々の悪戦苦闘を応援してくれていた、ドメスティックブランドさんとのコラボが実現したことも大きかったです。

アメカジ好きはもちろんモードが好きな方まで、ジャンルを超えて人々の“ツボ”を刺激し、一気に浸透していきましたね。アウトドアブランドと呼ぶのがいいのか? 今では、ふわっとした独自の立ち位置に行けたかと思います。

——アメカジだけでなく、アウトドアフリークからの支持も高いですよね。

防寒性に優れるダウンウェアは外遊びと好相性。特にキャンプには最適です。あとはこだわりのディテールも評価されているポイントかと。シンボリックな継ぎ目のない一枚革ヨークは、本国でも”ワンナッパ”と呼ばれて親しまれていたようです。かなり贅沢な素材の使い方で、コストがかかるのが悩みですが(笑)。

そのヨーク部分のステッチはボディのナイロンと同じ色にしてコントラストをつけています。物づくりのセオリーだとレザー部分にはレザーに合わせたステッチですけどね。ルーツであるアメリカは合理的。生産効率を上げたかったのでしょう、「別に糸の色は変えなくていいじゃん」という発想が返って良いデザインに。

こういったこともヴィンテージの仕様の中から得た情報です。ボタンは爪付きで、固定されているから回らない。これはダウン抜けを防ぐさり気ない工夫です。こういった細部への気配りが「ロッキーマウンテン フェザーベッド」の魅力だと思います。

ダウン
厳選したレザーを使うアイコニックなヨーク部分。はぎ目がない分、使用する面積以上の革が必要になるため高コストになってしまう。

——今後もヴィンテージのリプロダクトを追求していくのでしょうか?

根底にはヴィンテージのカッコ良さを表現するスタイルがありますが、インナーダウンラインのシックスマンスコレクションや、’90年代を彷彿とさせるナイス スタフィンコレクションなど、現代的ニュアンスの強いモデルも製作することで、クラシックの持ち味を生かしつつ進化させたテイストも提案しています。

例としては、UGGとビームスとのコラボレーションがわかりやすいですね。定番であるクラシックミニのシャフトを、ダウンが詰まったリップストップナイロンに変え、冬の最強ブーツにしたかったのです。僕が1年以上前から描いていた夢のモデルが現実になりました。

限定商品
(奥)「UGG×ROCKY MOUNTAIN」、(手前)「FEATHERBED×BEAMS/別注 クラシックミニ」各3万800円[税込]

——今後はブランドとして、どういった展開を考えていますか?

Rocky Mountain Featherbedの頭文字「R」は発音記号でA’r(アール)と書くのですが、そこに番地の2-27-24を付けた名前の直営の1号店「Ar’22724」がようやくできました。これからはお客さんの声を直接聞けて、こちらからも魅力が伝えやすい直営店展開の拡大が目標です。

ダウン以外のコレクションを増やすことでも、もっと多くの人に「ロッキーマウンテン フェザーベッド」を知ってもらいたいですね。あとは、皆さんに驚いてもらえるようなコラボレーションも準備していますので、これからも期待していてください。

 

【取材協力】
Ar’22724
住所:東京都中央区東日本橋2-27-24
電話番号:080-7024-4090
営業:13:00〜20:00
火曜定休

金井幸男=取材・文 小島マサヒロ=写真

# Camp Gear Note# アウトドア# ロッキー マウンテン フェザーベッド
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