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2019.10.28

ライフ

「平均の先に未来はない」証券会社をつくった男の普通じゃない生き方

【前編】を読む
2015年に創業した証券会社FOLIO(フォリオ)の創業者、甲斐真一郎さん(38歳)は、今年になって代表権を手放し、社長の座を退いたばかりだ。
甲斐真一郎
京大生でプロボクサー、そしてトレーダーから経営者へと転身を果たし、30代で社長から会長職へ。異例の経歴を持つ甲斐さんの「創業者」としての生き方はどのようなものだったのか。
もともとは起業して証券会社をやるなんて、まったく考えていなかったという。
 

リーマンショック後の閉塞感。「外の世界を見たい」

30代に入り、ゴールドマン・サックスからバークレイズ証券へと順調にトレーダーとしてのキャリアを積むなかで、甲斐さんが「起業」を意識するようになったのはいつ頃だったのだろう?
インタビューカット
「リーマンショックからしばらく経ってですね。金融規制が厳しくなって業界全体の閉塞感が高まっていた。緩やかに縮小均衡していく空気を、なんとなく肌で感じるようになってきていたんです」。
一方で2014年に上場し、融資総額6000億円規模にも及んだアメリカの会社「レンディングクラブ」(※)のように、当時ほぼ無名のベンチャー企業が突如頭角を現す衝撃を、甲斐さんは忘れられないでいた。
「“外の金融”にはまだ僕の知らない大きな業態がたくさん生まれようとしている。これからの金融を動かしていくのは、こういう人たちだろうと思うと焦りがありました。もっと僕も個で意思決定をしたい……その気持ちは日々強くなっていきました」。
※2007年創業の融資型クラウドファンディングサービス。上場直後、時価総額1兆円まで達した、フィンテック・ベンチャーの草分け的存在だった。


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