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自分にしかできない起業にしたい

想いは次第にしっかりと輪郭を持ちはじめ、甲斐さんは現在の共同創業者と共に起業のためのビジネスモデルを模索するようになった。
最終的に証券会社に決まったのは、起業するならば世の中に対して価値を創造したいと思ったからだという。
「ペインの解消なのかゲインの提供なのか、いずれにせよ誰にでもできることではなく、僕らがやる意味のあることにしたかった」。
長年、金融業界を見つめ続けた甲斐さんにしかできない思い切った決断だった。
「かなり思い切ったなって思います(笑)。いきなり証券会社つくるなんて。それだけ思い切ったからこそ、優秀な人材が集まったのかもしれない。僕らの起業によって資産運用の世界も変わる。どうせなら社会を変えられるくらいのことをやりたかった」。
ゼロから証券会社をつくるなんて無理だ。誰もがそんな固定観念に縛られ、挑戦できなかったことを甲斐さんは形にした。とはいえ、現在のように次々とサービスをリリースさせるまでには並並ならぬ苦労があったのではないだろうか。そうたずねると、長い沈黙があった。
「苦労……うーん。あんまり苦労だと思ったことはないんですよね。もともと非常にストレス耐性が高いので。人がハードシングスだと思う場面でもまあ大変だけど別に乗り越える方法を考えればいい、と考えてしまう。もちろん資金調達や事業・組織の問題はいつもスタートアップとして頭を悩ませてはいますが」。


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