37.5歳からの愉悦 Vol.101
2019.07.11
LIFE STYLE

水道橋の人気居酒屋で、囁きボイスの看板娘からα波が出た

看板娘という名の愉悦 Vol.73
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

ふらりと入った店が当たりだと嬉しい。水道橋の「伊賀屋」もそんな一軒だった。しかも、看板娘がいる。本連載にぴったりだ。

会計の際、店長に取材オファー。快くOKをいただいた。

水道橋
そんなこんなで夜の水道橋へ。

店頭では「もろこし天ぷら」の大看板が圧倒的な存在感を誇る。

外観
前回は、これに引き寄せられるように入店したのだ。

ランチライムも営業しており、夜の部は17時半から始まる。

内観
看板娘の姿もキャッチ。

席に着いてメニューを開く。

メニュー
ビール、ハイボール、サワー、焼酎。

どれにしようか。看板娘にオススメを尋ねると、囁くような声で「うちの日本酒は美味しいですよ〜」。

メニュー
おお、こんなところにもドリンクメニューが。

「『豊盃』で知られる青森の三浦酒造さんが夏限定で出している『ビキニ娘』、飲んでみますか? 知る人ぞ知る大人気の日本酒です」

1合980円。いただきましょう。

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看板娘、登場

看板娘
「お待たせしました〜」。

千代田区生まれ文京区育ちのアーバンガール、キャロさん(29歳)。

「高校時代に仲の良い女子グループで貴族みたいなあだ名を付けるのが流行って。私はキャロラインになりました」

この店は幼馴染の男性の紹介で働くことになったという。

メニュー
目移りするラインナップ。

フードメニューを見ていると、キャロさんがまた囁いた。

「前回は、『生牡蠣』と『とうもろこし天ぷら』を注文されましたよね」

すごい。1カ月ぐらい前なのによく覚えているものだ。

あまりの美味しさに感動した「とうもろこし天ぷら」(880円)はマスト。さらに、「生メカジキの串カツ」(420円)と、客のほぼ全員が頼むという「刺身盛り合わせ」(980円)も追加しよう。

料理とお酒
お通し2品がついてパラダイスに。

とうもろこしは芯を外しているので、そのままガブッといける。

とうもろこし
素材の味を職人の技が引き立てる。

キャロさんによる刺身の解説にも感動した。もちろん、囁きボイスだ。

刺身
「順番にご説明しますね〜」。

「インドまぐろの脳天、神奈川県の佐島漁港で揚がったヒラメと松輪沖で獲れたアジ、愛知産のトリ貝、銚子の金目鯛、島根の白イカ、宮城のホタテ。ヒラメとアジは朝締めです」

話すスピードがちょうど良く、言いよどむこともない。α波でも出ているかのようだ。

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ヘアスタイルを褒めると、「私、生まれたときからずっとショートなんです」。まあ、生まれたときはみんなショートだろう。

昔の写真も見せてもらったが、いちいち面白い。

昔の写真
パントマイム?

「これは小学校1年生ぐらい。家族旅行で泊まった沖縄のホテルでちょけているところです」

「ちょける」とは「ふざける」という意味だそうだ。

昔の写真
高校時代の友人と。

「真ん中はサッカー部の男子。左は今でも仲良しのポンちゃんで、貴族ネームはヨ・ポン・ジュンでした」

もはや、貴族感はないがとりあえず楽しそうだ。ファッションが大好きなキャロさんは、高校卒業後に服飾系の大学に進む。

昔の写真
後ろを流れるのは全長430kmのスケルデ川。

「大学時代に、先生や同級生たちとベルギーの王立芸術アカデミーのファッションショーを見に行ったんです」

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居酒屋バイトの経験が長いキャロさんは、こんなことを言う。

「料理に合うお酒や美味しい食べ方は社長が全部教えてくれます。さらに、調理場の2人の技術がすごいから、自信を持ってお客さんに提供できるんですよ。そう感じたお店は、ここが初めて」

プロ意識に頭が下がる。確かによく見ていると「メヒカリの塩焼きは頭から召し上がってくださいね」などと食べ方のガイドまでしていた。

社長
右端が社長の石塚健史さん(46歳)。

「学生時代にラグビーをやっていたからがっしり体型です。A型看板のでっかいとうもろこしのイラストは社長作。私はメニューのあちこちに絵を描いています」

なるほど、アルファベットのAの形をしているからA型看板というのか。そんな石塚さんによるキャロさん評は「とにかく働き者。お客さんへの気配りも完璧」。

ちなみに、店名の「伊賀屋」は社長の実家が営んでいた布団店の屋号。ロゴもそのままもらってオープンしたそうだ。

屋号
社長のお父さん直筆の屋号。

箸置きは社長の奥さんが手作りしたもの。

箸置き
美しい形状と繊細な絵柄。

ホッと落ち着けるアットホームな雰囲気は、こうした部分からも生まれるのだろう。

新聞記事
トイレには常連の歯科大の先生が取材を受けた新聞記事。
サイン
やくみつるとたけし軍団もご来店。

「伊賀屋」、お酒も料理も、そしてスタッフも素晴らしい。やはり名店でした。

後ろのテーブルでは福島出身らしき女性が福島弁クイズを出している。「お腹がいっぱい」は「腹くっちぃ」と言うらしい。

こちらも腹くっちぃである。そろそろお会計をしよう。

キャロさん
読者へのメッセージを書くキャロさん。

店を出るときに「美味しかった? また会えるといいですね」と囁かれた。そんなキャロさんから読者へのメッセージです。

メッセージ
確かに「愛情に満ち満ち」ていた。


【取材協力】
伊賀屋
住所:東京都千代田区神田三崎町2-12-8 US水道橋ビル 1F
電話:03-3261-3158

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石原たきび=取材・文

# 伊賀屋# 居酒屋# 日本酒# 水道橋# 看板娘
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