37.5歳からの愉悦 Vol.97
2019.06.13
LIFE STYLE

高円寺のやきとん屋で、元サッカー女子の看板娘の母にご挨拶した

看板娘という名の愉悦 Vol.69
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

FIFA女子W杯フランス2019が開幕した。6月11日に行われたサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は初戦のアルゼンチン戦で0-0の引き分け。今後の躍進が期待される。

そんな中、高円寺のやきとん屋にサッカー女子の看板娘がいるという情報が入ってきた。しかも、現役高校生だ。

外観
今回訪れた「やきとん いっぽ」。

安くて美味しい路地裏の名店である。今年の7月で開店6周年を迎えるそうだ。

内観
店内に看板娘を発見。

彼女は生まれも育ちも高円寺。現在は高校3年生で、ここはお酒好きの両親が通う店でもある。ちなみに、お父さんは47歳、お母さんは39歳。若い。

メニュー
では、お父さんが好きなお酒をいただきましょう。

「コーヒー焼酎の豆乳割りばっかり飲んでいます。飲みやすいから、ついついたくさんお代わりしちゃうみたいです」

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看板娘、登場

看板娘
「お待たせしました〜」。

17歳の瑶香(はるか)さん。新宿のカフェでアルバイトをしていたが、もう少しお小遣いが欲しかったこともあり、両親の口利きでここでも働くことになった。

「携帯代は自分で払うというのが親との約束なんです。バイトをしてても親に払ってもらっている子もいますけど」

少々感動しつつ、フードメニューに目をやる。

料理メニュー
高級魚の刺身が安い。

迷った末に「お造り全部盛り」(830円)を注文。瑶香さんが絶賛する「山芋醤油漬け」(200円)も追加した。

ドリンクと料理
豪華な晩餐となった。

金宮焼酎にコーヒーがよく馴染んでいる。お造りは、タチウオ、しめ鯖、赤ムツ、平目のエンガワの4種盛り。そして、山芋醤油漬けは酒のアテとして完璧な味付けだ。

さて、瑶香さんはサッカー女子と聞きましたが。

「高校入学と同時に女子サッカー部に入りました。小さい頃から、なぜかリフティングが好きだったんです」

サッカー部時代の写真
高1の頃の写真。

ポジションはサイドバックかフォワード。自分で決めるよりは打てる子に最後のパスを出すプレイスタイルだった。

「声も一番出してたし、足の速さも3位以内だったんですけど、なかなか試合に出してもらえなくて。結局、高2の夏に退部しました」

瑶香さんは「元」サッカー女子だった。ちなみに、今時の女子高生の間では何が流行っているのだろうか。

「普通にタピオカを飲みまくっています。月に6、7回ぐらいのペースですね」

特にお気に入りは、人気チェーン店の「THE ALLEY(ジ アレイ)」。

友人と看板娘
アッサムタピオカミルクティーを手にご満悦の看板娘。

「タピオカってお店ごとに硬さが違うんですよ。あと、家でタピオカを自作するブームも来ています」

さらに、女子高生の王道、プリクラも進化を止めない。

「最新プリ機の『アオハル』は、カメラの位置を自由に動かせるうえに、大人数で全身を写せるという画期的なマシンです」

プリクラ
新宿のカフェバイトの先輩と「アオハル」で撮った1枚。

この先輩は21歳。瑶香さんいわく、「超仲良しで一緒にいても気を使わなくて済みます。お姉ちゃん兼親友みたいな存在」だという。

修学旅行で行った台湾の写真も見せてくれた。

九份
九份(きゅうふん)の夜景に感動。

「日本は古い建物をどんどん壊しちゃうから」と大人びた表情で呟いた。

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なお、看板娘の常として瑶香さんもスタッフから愛されている。昨年の誕生日には、店長から口紅のプレゼント。今日もその口紅を塗って出勤した。

店長と看板娘
店長の田部井さん(27歳)。

「ハルちゃんのいいところですか? 明るいし、お客さんともすぐに仲良くなりますね。あと、食いしん坊(笑)」

田部井さんは阿佐ヶ谷の「3349」という美容室に通っているが、壁のアーティスティックな時計はそこのアシスタントの作品。店で個展を開いた際に展示されていたものを2万1000円で購入したそうだ。

時計
火事跡から出土した風の時計だが、針はちゃんと動く。

ここで、なんと瑶香さんのお母さんが来店した。

お母さんとオーナーと看板娘。
お母さんとオーナーの針谷さん(45歳)に挟まれる看板娘。

瑶香さんはどんなお子さんでしたか?

「変な子でした。小さい頃は『パパとママがかわいそうだからお嫁に行かない』と言っていましたが、小2のときに突然『やっぱり結婚する』と宣言。理由を聞くと『ひとりで死にたくないから』(笑)。小学生の思考じゃないですよね」

宇野亜喜良のTシャツ
お母さんは宇野亜喜良の大ファン。

彼女が飲んでいるのはレモンサワー。よし、じゃあお代わりはレモンサワーで。

レモンサワー
ホッピー方式でナカを追加注文するスタイル。

「まあ、でも自慢の娘ですよ。大人と同様に接して、スケべなことも聞かれたら答えていました。今でも夫婦は同じ布団で寝ていますが、たまにこの子も入ってきます。子はカスガイですよね」

「カスガイ?」と瑶香さん。スマホの漢字変換で出てきた。鎹は2つの材木をつなぎとめるために打ち込むコの字型の釘ですね。

検索画面
子供は夫婦の間をつなぎとめる働きをする。

オーナーの針谷さんに店名の由来も教えてもらった。

「独立して最初の一歩という意味と、あと漫画の『はじめの一歩』が大好きで。全124巻、全部持っています(笑)」

いい感じに酔ってきた。

そういえば瑶香さん、高校卒業後はどうするんですか?

「オーストラリア留学の試験を受けていて、合格すればアデレードに10カ月間留学します。英語力をもっと身に付けたいので。ダメだったら大学受験ですかね」

仲良し母娘の話は尽きない。

やがて、バイトを上がる時間になった瑶香さんはお母さんとともに店を出る。二人はひとつの傘の下で身を寄せ合いながら帰路に就いた。

帰路につく母娘
美しい絵柄。

読者へのメッセージも書いてもらいましたよ。

メッセージ
すべての文末に「!」のキラーパスをキメる看板娘。

【取材協力】
やきとん いっぽ
住所:東京都杉並区高円寺南4-7-13 第二久万乃ビル
電話:03-3316-3557

石原たきび=取材・文

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