昨季スキーを手にした人がいれば、冬の山に再び戻ってきたスノーボーダーもいる。
雪山の前では彼らは皆、平等に雪を愛する男たちなのだ。彼らがなぜ雪山に魅せられることになったのか、その熱い想いを語ってもらった。
Case1 山口アツシさん(52歳)
職業:グラフィックデザイナー
スノーボード歴:20年
よく行くスノースポット:ニセコ(北海道)
年間滑走日数:50日
愛車:ランドローバー ディスカバリー3 2007年式
山積する仕事に向き合う日々から、一度はやめたスノーボード。以来、サーファーとしてのライフスタイルを確立させた山口アツシさんは、7年前に久しぶりに訪れた北海道ニセコで人生の転機を迎えた。
「雪を滑る感触を忘れていたともいえるくらいに久々の雪山で、いきなり玉井さんと出会ったんです。人生が大きく変わった瞬間でしたね」。
レジェンドスノーボーダーの玉井太朗さんは、サーフィン的なアプローチのスノーボードを提唱する第一人者。このときの出会い以降、パウダースノーにマニューバーを描く玉井さんと彼の仲間が体現するスノーサーフに触れ、山口さんは雪上サーフィンの虜になっていった。
一方で仕事の仕方は課題のまま。出した結論は、「スノーボードを仕事にしよう」というものだった。
「ボードのグラフィックやブランドのカタログ、ロゴの制作など、山で出会う人たちからの仕事が少しずつ増えていきました。一緒に滑るとお互いを理解するのが早い。これもスノーボードの魅力なんでしょうね」。
毎冬2カ月近くを雪上で過ごす。仕事は持っていかない。滑りだけに集中する時間を過ごすから、オンモードへの移行はスムーズになりグラフィックワークは冴えるのだ。
切れ味抜群のコレで大きな斜面にでかいターンを!
「ゲンテンスティック」のボードと「カラコラム」のバインディング
最も使用するビッグフローターモデルは約5年前に購入。バインディングは、ベース部に厚みがあるため足のサイズが大きくてもターン時につま先が雪面に当たらない「カラコラム」のもの。
このグラフィック、実は僕の仕事なんです
「ゲンテンスティック」のロケットフィッシュ
レディスモデルのため本来のフレックスは柔らかめ。しかしこの1本は、テストボードのため硬めの仕上がり。森の中を疾走するツリーランを思い描かれた、葉っぱのデザインが魅力的。
「ノローナ」のスノーボードウェア
この冬に向け購入したセットアップ。ジャケットはタフな素材を使用しているのに軽く、ライディング時に着用感を覚えなさそうなところが好印象。バックパックと同等の強固な生地を採用したパンツは、細身ながらも脚の動きを妨げない作りになっている。
「ヘストラ」のレザーグローブ
滑走時は3又のミトンタイプを着用。バックカントリーがフィールドの中心になるため、5本指のグローブより保温性が高く、通常のミトンより細かい動きができるところがいい。
「K2」のスノーボード用ブーツと「ザ・ノース・フェイス」のヌプシブーティ
スノーボーダーでサーファーの玉井太朗さんが開発に携わった「K2」のブーツ(左)は柔らかいフレックスが特徴。「ザ・ノース・フェイス」のヌプシブーティ(右)は雪山へ行く際に活躍。
スキー1
「ポック」のサングラス
バックカントリーでのハイクアップ時に活躍するサングラスは、軽いうえにフィット性が抜群。「まったく曇らない」という高い性能も気に入っている点。ゴーグルも同ブランドのものを愛用する。
「アクリマ」と 「グリーンクロージング」の ベースレイヤー
ベースレイヤーは保温や抗菌といった機能性と、アウターを脱いでも恥ずかしくないデザイン性を重視。結果、トップスは「アクリマ」(左)、ボトムは「グリーンクロージング」(右)のメリノウール製を愛用している。肌触りも最高に気持ちいいんです。
「ウォリアーコーヒー」の インスタント・バターコーヒー
お湯に溶かすだけで楽しめる、100%オーガニックの有機インスタント・バターコーヒー。自宅ではグラスフェッドバターを入れ愛飲する山口さんが、ひと目惚れしたフィンランド発のもの。
「ゲンテンスティック」のネオプレン製湯たんぽ
サーフィン用ウエットスーツに使われるネオプレンを使った湯たんぽは、熱湯を入れお腹に置いておくとじんわり身体が温まる。「寝るときにエアコンをつけたくない人におすすめ」と山口さん。
「ラッドローラー」の マッサージツール
終日スノーボーディングを楽しんだあと、ホテルや自宅でヨガマットを敷いて横になりながら身体をほぐす際に使用する。長時間にわたるドライブ中や機内でも重宝するアイテム。張った腰にググッと効くんです。
「ライカ」のカメラと「トウキョウグラファー」のレンズ
「ライカ」は雪山には持っていかず、道中で出会った人や景色を撮るときに。雪上では、「トウキョウグラファー」のアタッチメントレンズをiPhoneに装着して使用。望遠&広角レンズを使い分ける。
「ヒューロム」のスロージューサー
石臼のように素材をすり潰しながらゆっくりと搾るために摩擦熱が少なく、酵素や栄養素を損なわずにコールドプレスジュースを作ることができる。3泊以上のスノーボードトリップには持参している。
久しぶりのスノーライフに役立つ最旬情報スノー愛が深い都心の注目ショップ
東京の都心にも冬を焦がれる滑り手は多い。そんな彼らスノーフリークの拠り所が、この2つのショップだ。2ドアーズはサーファーとスノーボーダーが交流する場であり、ボーゲンにはスキーをライフスタイルとして捉える大人が集う。スタッフのスノー愛も豪雪が降り積もったように深く、心地良い。
2ドアーズ電話番号:03-3705-7578住所:東京都世田谷区奥沢6-19-18 営業:12:00〜20:00 火曜定休ボーゲン電話番号:03-6303-2623住所:東京都目黒区五本木2-42-4旧吉川ビル1F 営業:木・金曜は16:00〜20:00、土・日曜は12:00〜19:00 月・火・水曜定休 PAK OK SUN(CUBE)、高橋賢勇、板倉淳夫=写真 野上大介、尾日向梨沙、高橋 淳=取材・文