巷に「新たな焼酎のカタチ」が台頭しているのを見つけ、伝えてきた本企画。今回は「焼酎から生まれたジン」という、これまた一風変わった新たな焼酎のカタチをご覧いただきたい。
鹿児島の濵田酒造が今年発売した「ジャパニーズ・クラフトジン 樹々(JUJU)」。これは創業150年を迎える蔵元が20回以上の試行錯誤を繰り返してようやく完成させた、「本格米焼酎をベースに作ったクラフトジン」なのである。って、一体どういうこと?
ジンはベースとなる蒸留酒にハーブや果皮などのいわゆる「ボタニカル」(草根木皮)を加えて再蒸溜して造る酒。そしてジンの定義は、ボタニカルのひとつに「ジュニパーベリー(杜松の実)」が使用されていること。逆にいえば、それ以外はフリースタイルでOKなので自由度が高く、クラフトマンの腕が鳴る酒なのだ。
ジンといえばジントニックやマティーニなど、カクテルのベースとなる酒という印象も強いだろう。しかし実は昨年あたりから世界中で「クラフトジンブーム」がじわじわと広まっており、あちこちで多種多様なジンが誕生。その香りと味をストレートやソーダ割りで楽しむ人が増えている。
そこで名乗りを上げたのが、鹿児島で明治元年に創業した濵田酒造。積み上げた経験を活かし、国産米を使用した米焼酎に、国産柚子など7種のボタニカルをじっくり漬け込むことで素材の香味を引き出したクラフトジンを造り上げた。
その爽やかで香味豊かなジンは、言われてみればどこか焼酎の旨味を感じる。ストレートで飲むも良し、ソーダ割りで飲むも良し。濵田酒造は、樹々とソーダを1:2で割り、ハチミツとレモン果汁を加えた「はちみつレモンソーダ」もオススメしている。
長い伝統を誇りながらも、いまだに褪せることのない挑戦心と遊びゴコロ。ライチ香るイモ焼酎「
だいやめ」も面白かったが、焼酎からジンへと生まれ変わったこのユニークな一品、試してみる価値は大いにある。
[問い合わせ]濵田酒造お客様相談室0996-21-5260ぎぎまき=文