37.5歳からの愉悦 Vol.63
2018.10.11
LIFE STYLE

祐天寺の蕎麦居酒屋で、看板娘のリンゴのような笑顔に癒された

看板娘という名の愉悦 Vol.35
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

新蕎麦の季節である。ここはひとつ、連れの女性に「蕎麦の実が収穫されてから1、2カ月以内に提供されるものを新蕎麦と言うんだよ」といった蘊蓄を披露しつつ、蕎麦をズルッと啜り上げたいものだ。

そんなわけで、訪れたのは東横線で渋谷から3駅の祐天寺。残念ながら連れの女性はいない。

東口を出て、
栄通り商店街を進むこと2分。
目指す店に到着。

蕎麦と日本酒の店、「星ノ灯(あかり)」。入り口には「新そば打ち始めました」の文字。

力強い宣言。

店内に入ると看板娘らしき女性が開店の準備をしていた。

おそらく、この子だろう。

席に座ってドリンクメニューを開く。

「日本酒利き酒セット」が気になる。

世に数多ある「セット」の中で一番好きなセットだ。味の違いを詳説する語彙は持っていないが、何となくトクした気分になる。

厳選された日本酒たち。
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利き酒セットはすぐに運ばれて来た。

お待たせしました〜。

今回の看板娘は愛梨さん(23歳)。本業はモデル・女優だ。好きなモデルさん見たさに東京ガールズコレクションに行ったところ、会場でスカウトされたという。

「当時は高校生で長野県の実家で暮らしていました。怪しいと思って1年ぐらい断り続けていたんですが、社長さんに会って話を聞いてみたら、ちゃんとした事務所だとわかって」

梨を愛すると書いて愛梨だが、一番好きな果物はイチゴだそうだ。

「イチゴ狩りは毎年行きます。現地で食べるイチゴはすごく濃厚なんですよ。あれに比べたらスーパーで売ってるのは水みたいな味」

本日のラインナップ。

右端の斬九郎は愛梨さんの故郷、長野県のお酒。添え書きには「ほのかなリンゴのような香りがチャームポイント」とある。

そういえば、愛梨さんにもどことなくリンゴっぽさがある。そして、見た目以上にアクティブな女性だった。

「今年の夏は、ウェイクボードとフライボードを体験するという夢が叶いました。めちゃめちゃ楽しかった」

ウェイクボードはモーターボートで引っ張られるやつ、フライボードは水圧で宙に浮くやつだ。

めちゃめちゃ楽しそうな愛梨さん。

面白かったのは上京してからのアルバイト遍歴。

「高校はバイト禁止でした。だから、ずっとやりたかったガソリンスタンドのバイトが決まったときはうれしかったですね」

理由は「つなぎを着て働きたかった」から。なかなかユニークな感性をお持ちである。

「びっくりしたのは、大雨の日に手洗いの洗車を頼んできたお客さんがいたこと。どういう事情で今洗おうと思ったんでしょうね」

フードメニューのイチ推しはつけ蕎麦。

蕎麦が美味しいのはもちろん、独自に開発したスープにも注目してほしいそうだ。愛梨さん、どれがオススメですか?

「私は『海老とトマトのつけ蕎麦』が一番好きですね」

では、それをいただきましょう。

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登場。

これがすごかった。海老から取った濃厚なエキスに絶妙なバランスでトマトが絡みついている。

いわゆる「麺リフト」も押さえる。

シェフ、最高です。

厨房担当の中谷さんに「美味しいそうです!」と報告する看板娘。

中谷さんによれば、今日の蕎麦は秋田産。新そばの産地は収穫時期により異なるので、愛梨さんの故郷、長野産のものもタイミングが良ければ味わえるという。

そうだ、看板娘の評価はいかがでしょう?

「ちょっと天然が入ってますね。他人のタイムカードを押したり、シフトが入っていないのに来たりとか。まあでも、憎めないいい子ですよ」

撮影時には愛梨さんに「前髪、大丈夫?」と冷やかす中谷さん。「あっ、全然気にしてなかった」「かわいいから何もしなくてもOKってこと?」「違います〜!」という微笑ましいやり取りもあった。

さんまの蒲焼きも注文。
こちらも美味しい。

愛梨さんの家族も全員仲良しだが、この店のスタッフも家族みたいだという。

「お母さんはK-POP好きで、一緒によくライブに行きますね。イチ推しは2PMっていうグループ。お母さんはテギョン、私はジュノのファンです」

目下の悩みは、メンバーが代わる代わる兵役に行ってしまうことだそうだ。

今回も看板娘のリンゴのような笑顔に癒された。では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

「何を書こう……」と20分近く悩む看板娘。

どうやら、真面目な性格のようだ。ようやく書き上げたところで、お会計。

お土産には「そばかりんとう」を。
見送ってくれました。
“新しい蕎麦の食べ方”部分を太ペンで変化を付けるテクニック。


【取材協力】
星ノ灯
住所:東京都目黒区祐天寺1-22−4
電話番号:03-6451-0380
www.hoshi-no-akari.jp/


石原たきび=取材・文

# 看板娘# 蕎麦
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