十人十色の夫婦関係 Vol.7
夫婦のカタチは人それぞれ。その数だけ、異なる幸せがある。たとえ一般的なスタイルと一線を画すものであっても、当人たちが納得していればそれでいいのだ。当連載では、ステレオタイプな「理想の家族」の型にはまらず、独自のスタイルを持つ夫婦を取材。異色ながらも円満な結婚生活を通じ、多様な幸せの在り方を探る。
「十人十色の夫婦関係」をはじめから読む今回お話を伺ったのは結婚7年目の荒川さん夫妻。ふたりは現在、一緒に暮らしていない。結婚当初は同居していたものの、ほどなくして妻の亜利沙(27歳)さんが実家へ“出戻り”。夫の真次さん(36歳)はそのままひとり暮らしとなり、以降は週に数回会うなどして婚姻状態を継続してきた。1年前からはその頻度はさらに減り、現在では月に1度顔を合わせるかどうかという状態だ。
とはいえ、夫婦仲は至って円満で互いに離婚の意思もないという。傍から見れば破たんしているようにも見えるその関係。しかし、それでも幸せそうなふたりに話を聞いた。
若かった妻、忙しい夫。現状に合わせてスタートした別居婚
まずは別居に至った経緯について。「別居」というと何だか穏やかでないが、ふたりの場合は具体的に何か問題があってのことではないようだ。
亜利沙さん「結婚したのは私が19歳のとき。まだ若かったこともあって、母や友達がいる居心地のいい地元にしょっちゅう帰っていたんです。そしたら、そのうち実家にいる割合が多くなっていった感じですね」。
真次さん「僕は僕で仕事が忙しく、一緒に住んでいたときも3日連続で家に帰らないなんてことはザラでした。そんなときに妻から『(帰らないなら)しばらく実家に戻っててもいい?』と言われ、全然いいよって。こんなに実家がメインになるとは思いませんでしたけどね(笑)」。
真次さんは結婚直後に立ち上げたイベント運営会社の仕事で忙しく、生活も不規則。特にイベントが多い週末は家を空けることが多かったという。そこで、週の後半から土日にかけては亜利沙さんが実家で過ごし、週の前半の平日に会う。いつしか、そんな形での「別居婚」がスタートした。
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