同居したくないわけじゃない。でも、今のペースには一番合っている
真次さん「客観的に見たら、別居って離婚の危機ですよね。そんな生活に、僕も当初は不安や違和感が全くなかったわけではありません。普通の夫婦生活、いつから始まるのかな?って思ったこともあります。僕自身、ごく一般的な家庭で育ちましたしね。でも、子供もいないし、今の僕らにはお互いのやりたいことを尊重できるこの形が合っているのかなと」。
ちなみに、今はさらに会う頻度が減り、この日の取材で顔を会わせたのも約1カ月ぶり。週末婚どころではなく、今や月イチ婚である。ただ、これにも事情がある。
亜利沙さん「じつは、去年の冬に私が腎臓の病気になってしまったんです。当初は2日に1度ステロイドを点滴しないといけないような状態でした。ただ、都内の病院だと混んでいて1日がかりになってしまうので、横浜の実家近くの病院に通うことにしました。注射を打つと半日くらい痙攣することもあるので、そのまま近くの実家に滞在できたほうが何かと安心ですから。病気が別居の理由ではないんですけど、結果的にこの生活スタイルが病気の治療にも適していましたね」。
ふたりは決して、同居して営む夫婦生活を否定しているわけではない。ただ、夫婦の現状をふまえると、別居という形が最も理にかなった選択だったということだ。
真次さん「夫婦関係って、離婚しなければ終わりはない。どちらかが死ぬまでたっぷり時間はあるので、お互いそのときにしかできないことをやる、やるべきことを思いっきりやる時期があってもいいと思うんです。それが妻は病気を治すことで、僕の場合は仕事。ふたりの将来のためにも、大きな仕事をやってもっと稼げるようになりたいんです。彼女もそれを応援してくれて、仕事をしやすい環境を与えてくれている。その代わり、実家の親や友達との縁を大切にする妻の気持ちも尊重したいと思っています」。
亜利沙さん「そうそう。年をとって、ひとりでいるのがしんどくなったらまた一緒に住めばいいわけですしね。今は本当に好きなようにやらせてもらっています。例えば夫と約束していても、『近所の公園に限定のポケモンが出たから、ごめんキャンセルで』って、それでも許してもらえるくらい、自由でゆるい関係性です(笑)」。
真次さん「限定ですからね、仕方ないです(笑)。まあ、夫婦だからといって、いついかなるときでも最優先にすべきってちょっと息苦しいですよね。ときにはポケモンを優先してしまうくらい柔軟なほうが、心地良くいられると思うんです。逆に僕が『徹夜でマージャンして疲れたから』っていう、しょうもない理由で予定をキャンセルすることもありますしね」。
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