「なんであんなに真剣にプレーしているんだろう」。
小雨交じりの平日の夜に、仲間に誘われて参加したフットサル。顔見知りの猛者もいるとはいえ、筆者のようなエンジョイプレイヤーも混じるフットサル場で、ひとりだけ鬼気迫る表情でプレーし、明らかにほかとは違うオーラを放つ男がいた。
しばらくの間、自分の出番を待ちながら、ピッチの脇でその男のプレーを目で追っていると、筆者の耳元で、友人が囁いた。
「あの人、元Jリーガーの宇留野純だよ」。
そう言われて、もちろん、納得した。うまい。とにかくうまい。聞くところによると、ヴァンフォーレ甲府やロアッソ熊本などに在籍し、現在はサッカー指導者として活躍しているのだそうだ。
筆者は、このとき、宇留野純という人物のことをまったく知らなかったが、不思議なことに、彼がプレーしている姿に、うまさとは別の何かを感じた。うまいだけじゃない、何か。
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