
オッサンの秘密兵器! 37.5歳に贈るハイパー・ガジェットVol.11
日々登場する最新ガジェット。かつて夢見たような機能が満載の製品があちこちで産声を上げている。ただメカ好きのオッサンといえど、昭和世代。なかなか対応しきれないのが事実……。そこで最近登場したハイパーな機能とともにオッサン向けの使い方をレクチャー。さあ、魅惑のテクノロジーの世界へご案内!
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オシャレなカフェでノマドワーカー(すでに死語?)を気取り、ノートPCを広げて仕事をこなす……これぞデキる男の日常風景なのだが。そこで誰しも遭遇するトラブルが、人間として不可避な「生理現象」ってやつですよね。気持ちはすでにトイレにあるものの、テーブルに拡げたノートPCを放置したまま席を離れるのは如何なものか? そんな悩みを解決してくれるのが、キングジムが2月23日に発売する「トレネ」(7344円)だ。
少しの間も目を離したくない、大切な仕事道具をキミは守れているのか??
ランチタイムや移動の合間の休憩時に立ち寄ったお店で、トイレに立ったり電話に応答したりする際に、手荷物やコートの類をすべて手にして離席する人って、そもそもどれ程いるのだろうか?
ビジネスマンの“常識”に則れば、仕事にかかわる情報が入ったPCや書類は肌身離さず持ち歩くべきなのだが、商用ならぬ小用を足すわずかな時間のために、机に拡げたPCや書類をカバンに詰め込んで移動するのは、正直かなり面倒なもの。シチュエーションにもよるが、比較的人の出入りが少ないお店であれば、おそらく大半の人が財布&携帯電話という、自分にとって失っては“本当に”困るモノだけを持ち歩いているはずだ。
しかし! そんな姿勢が深刻な事態を招く元になるのは言うまでもないこと。たとえ毎日通う馴染みの喫茶店だったとしても、盗難や盗み見のリスクはゼロと断言はできないし、もし本当に事故が起こったとしても、お店に責任を押し付けたところで失われた情報や信用は取り戻せない。生き馬の目を抜く現代社会をサバイブする男なら、やはり自分の身は自分で守るしかないのですよ。

そこで登場するのが、今回体験した「トレネ」だ。一見、キスチョコのようなフォルムをしたこのガジェット。いったい、どのような活躍をしてくれるのだろうか?
操作を意識することなく、自然に「監視」をしてくれる点がいちばんの魅力
モニタリングアラームというジャンル名からもわかるように、「トレネ」の主な機能は「監視」と「警報」。対象となるアイテムの上に「トレネ」を載せることで、盗難や盗み見をされないよう監視し、万が一それらしい挙動(振動)が検知された場合には、警報を発し周囲に知らせてくれる。
振動を検知し警報を発する、旅行鞄などに用いる防犯ブザーはすでに製品化されているのだが、この「トレネ」が既存品と違うのは、優れたデザイン性に加え、かゆいところに手が届く「スマート」さだ。何より便利なのが、一度セッティングをすれば「離席」の状態を自動的に判定してくれる点だろう。専用アプリを介しスマートフォンと連動しており、「トレネ」とスマートフォンが指定した距離以上に離れると監視を開始。
監視をスタートすると、赤いランプが点滅逆に指定した距離以内に近づくと、監視を解除する(アラームの停止を含む)しくみになっている。
監視を解除すると緑色に光ってスタンバイモードに(LEDを消灯させることもできる)監視中に「トレネ」が振動を検知すると、頭頂部に設置されたドーナツ状のLEDが赤く光り、さらに「ピピピピピ」というアラーム音でアラームを発する。
アラームの音量は大中小の三段階から選択できるのだが、最大音量の「大」でも警報としては比較的控えめな印象だったのが、ちょっと気になるところではある。人の出入りが激しく騒音レベルも高いファーストフード店のようなシチュエーションでは、周囲に気が付いてもらうのは難しそうだが、振動させた当人を驚かすことができれば十分、ということなのかもしれない。もちろん、アラームが発せられていることはスマートフォン側にも通知されるので、急いで席に戻ることもできるわけだが。
アラーム音をオフにしてLEDの点滅だけを警報として選べることからも、どちらかといえば周囲に知らせるというよりも、盗難や盗み見を意図した相手に警告を発することに主眼を置いているのかも。その点においても、やたら大きく耳障りな音を発する防犯ブザーに比べ、一段と紳士的で「スマート」なガジェットなのかな、と思いました。
ノマドワーク時だけでなく、オフィスのセキュリティ対策にも使えそう
「あ、これ買いたいな!」というのが、実際に「トレネ」を使ってみての率直な感想だ。カフェやファミレスなど、外でひとり仕事をする機会が多い筆者にとって、トイレや電話で席を離れる際のセキュリティ対策は、なかなかに深刻な問題。情報が盗まれる心配もさることながら、大枚はたいて買ったPCが盗まれてしまうかもという心配と闘いながら急いで用を足すのって、たいへんストレスが溜まりますからねぇ。
ここで気になるのは従来の振動検知型防犯ブザーとの比較だろう。実際に振動検知型防犯ブザーを使ったことはないのだが、商品説明を見る限り「トレネ」とはかなり方向性が違う商品のようだ。ザックリまとめると、大きな荷物を盗難からガッツリと守りたい場合に使うのが振動検知型防犯ブザー。ノートPCや書類をはじめとする小さな荷物を、比較的短い時間だけライトに守りたい場合に役立つのが「トレネ」といったところだろうか。

振動検知型防犯ブザーは安いモノなら2000円程度で入手できるようなので、値段だけで言えばこちらのほうが手軽ともいえるのだが、監視のオンオフ操作を意識することなく、自然に荷物を守ることができるスマートさ(見た目も)を考えると、「トレネ」はかなり魅力的。
カフェやファミレスだけでなく、オフィス内でも大げさな印象を与えずにセキュリティ対策ができるのも良いところだなと感じましたね。心配性の皆さんというよりは、「オレはたぶん大丈夫だ」と運を天に任せるタイプの呑気な諸兄にこそ、オススメしたいアイテムですよ!
文・石井守郎