OSSANs IN ACT あの役に学ぶオッサン美学 Vol.3
2017.02.07
LIFE STYLE

『ラストミッション』 / スーツは大人の男の最強武器。ケビン・コスナーの着こなしに注目

オッサンの醸し出す哀愁やチャーミングさに惹かれる若い女性は意外と多いという。しかし、女性ならではの「ツボ」を理解するのはけっこう難しい。そこで、映画に精通する女性ライターに、オッサン主演映画とその俳優の魅力を伺ってみた。所作や独特の雰囲気、生き様など、作品の役柄から見る「格好いいオッサン」とは一体どんな人物像なのか。それを知れば、「オッサンの格」がまたひとつ上がるかもしれない。 父親には“仕事の顔、家族の顔”があるが、そのギャップを上手に描いた作品が『ラストミッション』である。今回は主演を務めたケビン・コスナーに注目してみた。父と娘の関係、スーツの着こなしに、オッサンならきっと刺激を受けるだろう。

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【今回の先輩オッサン】

ケビン・コスナー(イーサン・レナー役) / 『ラストミッション』

ケビン・コスナー(イーサン・レナー役)

 

ケビン・コスナーに、“何があっても守ってくれる男”の称号を与えたい

若い頃も格好いいけれど、オッサンに突入してますます格好よくなっている俳優ケビン・コスナー。1980〜1990年代初期の30代は『アンタッチャブル』(1987年)や『フィールド・オブ・ドリームス』(1990年)、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年)など次々とヒット作に出演。そして1992年に大ヒットした『ボディガード』で知った人も多いのでは? 彼の代表作となっただけでなく、演じたボディガード役はその後のケビン・コスナーに「何があっても守ってくれる男」というイメージを定着させた。まさに世界中の女性のハートを掴んだというわけだ。

ほかのスパイ映画とはちょっと違う。格好いいのに「娘が弱点」の良き父親を描く

そして今回紹介する『ラストミッション』はケビン・コスナーが50代後半のときの主演作。スパイ映画である本作では、ベテランCIAエージェントのイーサン・レナーを演じている。スパイ映画というと『007』のジェームズ・ボンドや『ミッション・インポッシブル』のイーサン・ハントなど、頭脳明晰で屈強なヒーローが、いかに任務遂行するかをアクション&スリル満載で描いているが、この『ラストミッション』はひと味違う。スパイヒーローという側面を持ちながら、“家族”についての普遍的なテーマが加わっているのが特徴だ。 「スパイが家に帰ったらどんなことが起こるのか、そこに興味があったんだ」とマックG監督が言うように、この映画の中でケビン・コスナーは“優秀なスパイ”の一面と、仕事で5年間家を離れていたことで16歳の娘とのコミュニケーションに戸惑う“父親”の一面、そのギャップを魅力的に表現してみせた。格好いいケビン・コスナーはたくさん目にしてきたが、16歳の娘が弱点であたふたする姿はなかなか見られない、貴重な一作だ。

犯人を追い詰めているときに娘から着信! つい電話に出てしまう、チャーミングさ

主人公の一流CIAエージェント、イーサン・レナーは、病気にかかり余命宣告を受け、引退を決意する。それをきっかけに残りの人生を家族と過ごそうとするが、長く家を空けていたせいで思春期の娘とは溝が深まるばかり。そんなある日、病気の治療薬と引き換えに現役最後の仕事(=ラストミッション)を引き受けることになる。 面白いのは、CIAとして拳銃片手にターゲットを追い詰めているときであっても、娘からの着信であれば電話に出てしまうところ。しかもその着信音は娘が設定した、若い子に大人気のアーティスト、アイコナ・ポップの「I Love It」。その着信音が鳴るたびに、ほんの一瞬、アクションシーンの緊迫感から解放され、クスリと笑ってしまう。家族との空白時間を一生懸命埋めようとするイーサン・レナーにキュンとさせられるのだ。

子どもに愛情を注ぐ主人公に、オーシャンズ世代の父親はきっと共感する

なかでもとびきり格好いいのは、ある危険な状況から娘を救い出すときのお姫様だっこ。『ボディガード』のあの有名なワンシーンのオマージュとも捉えられるようなテッパンの胸キュンシーンだ。ほかにも、娘にダンスや自転車の乗り方を教えるシーンなどラブロマンスとはまた違う、父親と娘の絆を深めていく素敵なシーンになっている。父親なら、彼が娘を思う気持ちや行動に痛いほど共感するのではないだろうか。

ジーンズからスーツに着替えて仕事モードになる姿は、男性を魅力的に見せる

極めつけはスーツ姿だ。普段はジーンズにストールのカウボーイチックなスタイルだが、仕事でスーツ姿になったときの色気といったら! こんなにもワイシャツ&ネクタイを色っぽく着こなせる大人の男って……♡ と惚れ直してしまう。
イーサン・レナーにミッションの指示を出す女性から、「殺す相手よりいい服を着て」というセリフがあるが、オッサン世代だからこそちょっと高めのスーツも似合うのではないだろうか。長年スーツを着てきたからこその着こなしや馴染み感には、若い世代が太刀打ちできない魅力がある。 この映画を観たら、いつもチョイスしない新しいスーツに挑戦してみたくなるかも。「やっぱりスーツは大人の男の最強の武器なのかもしれない……!」と、ケビン・コスナーに気付かされた。何てったって、胸元の開き具合がサイコーなのだ。

 

【information】
『ラストミッション スペシャル・プライス』

発売・販売元:TCエンタテインメント 好評発売中
価格:1,800円(Blu-ray)、1,200円(DVD)
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ライター
新谷里映(しんたに りえ)

映画ライター、コラムニスト。女性誌「ESSE」、映画誌「J movie magazine」「CINEMA SQUARE」、ウェブ「cinemacafe.net」「NYLON JAPAN」「T-SITE」などでインタビュー、コラムなどを執筆。日テレ「PON!」の映画コーナーやラジオに出演するほか、映画のトークイベントのMCとしても活動中。http://rierieshintani.tumblr.com/

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