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2021.06.19

あそぶ

オーダーは2年待ち。デウスが惚れ込む日本人シェイパーのクラフツマンシップ

ハンドシェイプという手作り文化が長らく根付いてきたサーフボードの世界で、日本のクラフツマンシップが高い評価を受けている。
そこには人と人とのつながりを生み出すほどの、上質な手仕事があった。
 

サーフボード作りへの愛が偶然を運命の出会いにした

世界が認めた“手仕事”。「デウス エクス マキナ」が惚れ込む日本人シェイパーのクラフツマンシップ
自宅にシェイプルームがあり、思い立ったらすぐ仕事へ。シェイパー的な職住一致の生活環境は若いときに抱いた夢だった。
仕事ぶりが海外サーファーから高く評価される数少ない日本のサーフボードシェイパー、そのひとりがタッピーこと吉川拓哉さん。
自身のブランド、タッピーレコードを展開する一方、オーストラリアで誕生したデウス エクス マキナのプロジェクトに日本人シェイパーとして初参加。以来、現在にいたるまで多くのモデルを手掛けてきた。
デウスが何より評価しているのは“手仕事”によるクオリティである。サーフボード作りは多くのブランドにおいて分業制が取り入れられているが、タッピーさんは全工程に目を光らせる。
全工程とは、ブランクスと呼ばれる発泡材をプレーナーと呼ばれる電動カンナで削ることに始まり、削り終えたブランクス全体に樹脂をコーティングし、硬化したのちに余分な樹脂を削りながら整えていくまでのことをいう。
特にシェイパーの仕事の要はブランクスの削り出しにあり、それは“デザインを起こす”仕事となる。シェイプ以降は生まれたデザインを使えるものにしていく工程といえ、シェイパー以外のスタッフが手掛けることが多い。
オルタナティブボードと呼ばれるデザインを多く手掛けるタッピーさんはスノーボードのキャリアも長く、デウスからはオリジナルデザインを発表している。
タッピーさんも多くをスタッフにまかせている。が、最初から最後までを自ら手掛けるのも日常茶飯事。「シェイプ以外の工程も好きなんですよ」と、その理由はシンプルだ。さらにすべてに携わることで自身の目による厳しい品質管理が可能となる。
「大手ブランドなどはPCで制御しながらサーフボードを作るのが普通な時代。シェイパーの重要な仕事はマスターボード作りになり、雛型があれば数を多く作ることができます。
僕も一部取り入れたことがありましたが、ハンドシェイプのもっとも楽しい工程をマシンに取られるのもつまらなかったので、今は使わず自分の手で作っています。おかげですごく忙しいですよ。うちは僕にとってだけブラック企業です(笑)」。


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