キャンプ用バーナー、ちゃんと選べてる? 種類、燃料の違いなど簡単解説
「Camp Gear Note」とは……
バーナーはキャンプのマストアイテムのひとつ。温かな食事と飲み物を作るには、どうしたってこいつが必要不可欠だ。
アウトドアショップには、実に多種多様なタイプのバーナーが並んでいる。それぞれに得意とする使い道があるのだが、それを初見で見分けるのは至難の技である。
まずは大きさや形の意味、違いの出やすいディテールに着目し、タイプごとに向く使い方を知ることから始めてみよう。
ツーバーナーとシングルバーナーの違いは安定感と携行性

まず迷うのが、火口が2つあるツーバーナーか、1つのシングルバーナーかの選択だろう。
両者の違いは、ずばり安定感と携行性。調理時の安定感を求めるならばツーバーナー、携行性を優先するならばシングルバーナーを選べばいい。
ちなみに、ツーバーナーのほうが火力に優れると勘違いしている人も多いが、カタログスペックをよく見比べてみよう。実はバーナーヘッドはシングルバーナーと同じだったり、シングルバーナーのほうが最大火力が強いモデルも少なくない。

ツーバーナーの利点である「安定感」とは、調理台としての安定感だけではない。
例えば、重たい鍋や大鍋をしっかり支える大きめのゴトク、熱効率を高める風除け(風防)、寒いときも火力が落ちにくい燃焼機構も、屋外調理の安定感を高めてくれる重要な構成要素となる。
見た目は似ているが、これらの要素は家庭用の卓上バーナーにはない、アウトドア向けに設計されたバーナーの特徴だ。

対するシングルバーナーの利点は、圧倒的な収納時の小ささと携行性の高さにある。
上写真を見ていただければ、ツーバーナーとの大きさの違いは歴然。このサイズなので、火口が2つ以上欲しい場合はシングルを2つ並べて使うのもありだろう(だだし、大きなグリルを載せるなど2つのバーナーの跨いで使うことは危険なのでNG)。
移動は車か電車か、自宅に十分な収納スペースがあるか否か、などがセレクトポイントとなる。
燃料は使用環境によって使い分ける

続いて、燃料の違いについて触れたい。
バーナー用の燃料は大きく3種類。もっとも馴染みのある燃料、カセットガスを使うCB缶タイプ。丸っこい形が特徴的なOD缶タイプ。そして、灯油やホワイトガソリンなどの液体燃料を使うガソリンタイプがある。
どのような環境で使うことが多いかが、セレクトの決め手となる。

まず、もっとも一般的なCB缶を使うタイプの利点は、比較的安価にどこでも燃料が手に入りやすいこと。万が一忘れても、キャンプ場近くのコンビニやスーパーでもゲットできる。キャンプで使うなら、このタイプがいちばん使い勝手がいい。
ちなみに、ガス燃料には種類があり、「パワーガス」や「ハイパワーガス」と表記されているものは、寒い場所でも火力が落ちづらい配合比と圧のガスが詰められている。若干値段は上がるが、寒い時期や標高が高いキャンプ場ではこちらを選ぶべし。
また、種類だけでなくブランドごとにガスの配合比は異なるため、使いかけのガスを詰め替えるアダプタは使わないほうが安全だ。

続いてOD缶タイプの利点は、その丸っこい特徴的な形状を生かして鍋にコンパクトに収納できること。常にまとめておけば燃料の忘れ物もなくなる。山登りでも併用したいなら、こちらをすすめたい。
ガソリンタイプは雪山など、極寒の環境でも火力が落ちないことと、海外や島などガス缶が手に入らない場所でもガソリンや灯油を使えることがメリット。しかし、着火にはひと手間とコツが必要なので、初めにバーナーを選ぶならガスタイプが無難だ。
ランタンなどほかのギアと使用する燃料を揃えることもセレクトポイントとなる。
安定感の高い分離式か究極にコンパクトな一体型か

シングルバーナーは、燃料のガス缶とバーナーヘッドが離れた設計の分離型、ガス缶と繋がった設計の一体型の2つに分けられる。
調理時の鍋のポジションが低く安定感の高いのが分離型に対し、一体型は収納時のコンパクト性に優れることが特徴と言える。


ツーバーナーほどではないが、分離型のゴトクは大きめに設計されたものが多く、調理時の安定感はかなり高い。安定感や重量、使い勝手などのバランスが良いタイプと言える。
一方、一体型は構造上大きめの鍋を使うにはバランスが悪いが、バーナー自体の重量は100gを切るものも多く、収納時は非常にコンパクト。湯沸かしや簡単なキャンプ料理なら、これがあれば十分だ。
(後編へ続く)
[取材協力]
新富士バーナー
0533-75-5000
www.shinfuji.co.jp
「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。 上に戻る
池田 圭=取材・文 矢島慎一=写真