Running Up-date Vol.25
2020.06.06
LEISURE

のめり込むほど奥深くなる。服飾デザイナーの仕事とランニングの共通点

武田裕二郎

「Running Up-Date」とは……

「キート」と「ミスターエブリデイズ」。気の利いたデザインに定評のあるふたつの東京ブランドでディレクターを務める武田裕二郎さん。

キートはベーシックながら心地良い素材使いにファンが多く、とりわけセレクトショップがこぞって扱うカットソーなどでお馴染み。ミスターエブリデイズはソックスを軸として、日常生活を彩るポップで毎日使いたくなる小物類が中心だ。趣向の違うこの2ブランドのアイテムをひとりでデザインし、ブランドを走らせ続けていく日々は多忙を極める。

そんな武田さんはランナーとしての顔も持っている。「本格的に走り始めたのは2018年の1月から」で、今では見事にハマっているという。

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コツコツと積み重ねることが、自分の中の納得度を高める

武田裕二郎

デザイナーと聞くと派手なイメージがあるかもしれないが、武田さんの場合はデスクワークが多く、地道な作業が仕事の大半を占めるという。

「30代後半になって、日常のちょっとしたシチュエーションで運動不足を感じることが増えてきました。自分の中で体を動かしたいという欲が高まってきて、2年前の年始に『走ろう!』と決心しました。実際、まわりに走ってるセンパイ方もいたので、なんとなく興味があったんです」。

もともとスポーツは好きで、ジムに入会していた時期もあった。

「でも、そのときは続かなかったんですよね。一方でランニングは、始めてみたらすんなりと続けられました。仕事では室内にカンヅメになることもあって、それとのギャップがいいんですよね。ビジネス以外での趣味や目標があれば生活にハリが出ますし。この歳になって何かを新しく身につける、成長するという経験をどこかで求めていたのかもしれません」。

走る前までは夜遊びなどで心身のバランスをとっていたが、徐々にそれもキツくなり、年齢的にも服作りに対してより真摯に打ち込むタイミングが訪れていた。

武田裕二郎

「ランニングって、どこかデザイナーの仕事に通ずるところがある気がします。自分にとって走ることの魅力は、小さな達成感の積み重ねができるところ。頑張った分だけ速くなって、少しずつですがタイムとなって現れます。アパレルのビジネスも日々コツコツと時間をかけて努力していく必要がありますが、結果が見えにくいというか、その成果がすぐには現れません」。

努力に対して達成感、成果が体感できるもの=ランニングがあるおかげで、デザインの仕事にも相乗効果で取り組める、と。う~ん、いいお話!

「服作りでは粘り強く時間をかけたほうがクオリティに対する納得感が高まります。だからランニングのおかげで、服のデザインにも今まで以上に地道に向き合えるようになりました。まぁ、実際は自己満足の世界なのかもしれませんけど(笑)。それから、走れば走るほど自分自身がわかる。のめり込むほど、その世界の濃さが味わえるところが似ているのかなと」。

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ゆっくり走るよりも、しっかり汗をかくほうが気持ちいい

武田裕二郎

武田さんの場合、デザインの仕事で培った「我慢強く向き合う」気質が走ることに向いていた。そして日々のランニングで得られる小さな成長の経験が、成果を数値化しにくいデザインの仕事に向かう姿勢をよりアップデートしてくれている。

春夏・秋冬と大きなシーズンの波のある仕事だが、どんなに忙しくてもランニングは欠かさず、週1回は走るようにしている。朝方に駒沢公園まで行って帰ってくるのが定番コースで、繁忙期には南青山のオフィスから自宅までの帰宅ランを行うことも。走るペースはキロ5分を切るくらい。

「ゆっくりジョグをするのは得意じゃないというか、そんなに好きじゃなくって、一生懸命走って汗をかいたほうが気持ちいい。今は世田谷に住んでいるので、地元で行われる世田谷246ハーフマラソンでタイムを出すことをひとつの目標にしています。東京マラソンも走ってみたいですね。走り始めてから、自分の中でデザインに対する満足度、腑に落ち具合が変わりました。だからランニングは今後も続けていきたいですね」。

年に2度の展示会が終わったあと、ファッションとは直接関係のないバケーションに出かけてリフレッシュするのがここ数年のルーティンだとか。

「海外のビーチリゾートで海沿いを走るのが最高なんですよね。このルーティンも続けていきたいです」。

また、走り始めてからは、それまで興味のなかったランニング関係のアイテムをコレクションするようになった。それらはデザイン面でインスピレーションソースになることもあるという。デザイナーならではのランニングギア選び、気になる! 次回はそのあたりを聞いてみよう。

武田裕二郎

RUNNER’S FILE 11
氏名:武田裕二郎
年齢:39歳(1981年生まれ)
仕事:キート、ミスターエブリデイズ ディレクター
走る頻度:週1〜2日、10km程度
記録:ハーフマラソン1時間46分(2019世田谷246ハーフ)

 

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「Running Up-Date」とは……
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る

礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真

# Running Up-Date# キート# ミスターエブリデイズ# ランニング# 武田裕二郎
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