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コツコツと積み重ねることが、自分の中の納得度を高める

武田裕二郎
デザイナーと聞くと派手なイメージがあるかもしれないが、武田さんの場合はデスクワークが多く、地道な作業が仕事の大半を占めるという。
「30代後半になって、日常のちょっとしたシチュエーションで運動不足を感じることが増えてきました。自分の中で体を動かしたいという欲が高まってきて、2年前の年始に『走ろう!』と決心しました。実際、まわりに走ってるセンパイ方もいたので、なんとなく興味があったんです」。
もともとスポーツは好きで、ジムに入会していた時期もあった。
「でも、そのときは続かなかったんですよね。一方でランニングは、始めてみたらすんなりと続けられました。仕事では室内にカンヅメになることもあって、それとのギャップがいいんですよね。ビジネス以外での趣味や目標があれば生活にハリが出ますし。この歳になって何かを新しく身につける、成長するという経験をどこかで求めていたのかもしれません」。
走る前までは夜遊びなどで心身のバランスをとっていたが、徐々にそれもキツくなり、年齢的にも服作りに対してより真摯に打ち込むタイミングが訪れていた。
武田裕二郎
「ランニングって、どこかデザイナーの仕事に通ずるところがある気がします。自分にとって走ることの魅力は、小さな達成感の積み重ねができるところ。頑張った分だけ速くなって、少しずつですがタイムとなって現れます。アパレルのビジネスも日々コツコツと時間をかけて努力していく必要がありますが、結果が見えにくいというか、その成果がすぐには現れません」。
努力に対して達成感、成果が体感できるもの=ランニングがあるおかげで、デザインの仕事にも相乗効果で取り組める、と。う~ん、いいお話!
「服作りでは粘り強く時間をかけたほうがクオリティに対する納得感が高まります。だからランニングのおかげで、服のデザインにも今まで以上に地道に向き合えるようになりました。まぁ、実際は自己満足の世界なのかもしれませんけど(笑)。それから、走れば走るほど自分自身がわかる。のめり込むほど、その世界の濃さが味わえるところが似ているのかなと」。


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