「Running Up-Date」とは…恵比寿にあるヘアサロン「
ブロッコリー」のオーナー藤川英樹さんは、砂漠マラソンや100マイル(約160km)のトレイルランニングレースを走ってしまう、飛び抜けてコアなランナーだ。しかも髪型はドレッドヘア。
柔和な物腰からはちょっと想像できない、個性あふれるエネルギーが詰まっている。
山ランにハマった理由は「買い物中毒」から抜け出すため
学生時代は野球場で白球を追いかけ、20代で世界一周も体験し、帰国後30歳で「ブロッコリー」を立ち上げた。
「当時は多忙を極め、草野球をする機会も減ってしまい、気が付いたらお腹にお肉がついてきちゃって。そこでダイエットのために走り始めたのがきっかけです。最初は週に2、3回、5kmほどを走ってました。代々木上原の銭湯を目的地にして。飲みに行かない日のルーティンでしたね」。
するするっと体重が落ちていき、その感覚が楽しかった。ちなみに美容業界は週末が忙しく、火曜日を休みとするパターンが多い。
「だから、走ることにハマっていっても、レースに出ようという発想にはなりませんでした。その代わり休日にバックパックを背負って、だんだんと長い距離を走るようになっていったのですが、東京の街中を走るのはある意味、危険なんですよ。だって魅力的なショップがたくさんあるじゃないですか。服やテーブルウェア、雑貨など、気が付けばバックパックが満杯になって、最後には両手に紙袋を持って走ってました」。
そんな買い物中毒の自分が嫌になりかけていたとき、カットに来ていた知人がトレイルランニングのことを教えてくれた。
「山にはお店がありませんから、誘惑もないですよね。『そりゃいいな』とギアを揃えて、高尾山に向かいました。自然の中を走る楽しさに、すぐハマりましたね。頭の中がクリアになるんですよ。
街中を走るといろいろと目移りしちゃって音楽を聴きながら走れないのですが、山の場合は音楽やポッドキャストを聴いて走ってます。『オーディブル』という朗読アプリがあって、だいたいそれを聴きながら走ってますね。おまけに登山口まで移動する電車の中でも本を読めます」。
オーディブルはamazonによる朗読アプリで、サブスクリプション登録すれば月額で実質読み放題(聴き放題)となる。興味の幅が広い藤川さんには持ってこいなのだ。
「あとは仕事や家族のことを考えながら走ることが多いですね。山を走っていると不思議と名案が思いつくんですよ。途中で立ち止まってメモったりもします。でも、よくよく思い返してみると実は考えてるようでいて、無になれている時間が多いのかも。思考がポジティブになるのも良いですね」。
2/3