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チャレンジした経験が、働き方改革への大胆な一歩に

「逗子にトレイルランに行った帰り、コースをアテンドしてくれた地元の友人宅にお邪魔して『アタカマ砂漠マラソン』のテレビ番組を観たんです。
1日数十kmのコースを何日かかけて進むステージレースで、道中の食糧や寝具を背負って走る。しかも砂漠の中を進む。そんなチャレンジングすぎる大会なのですが、ゴールシーンで感動しちゃって。これはちょっと自分も出たいぞと、その場のノリで翌年のレースにエントリーしていました」。
そのバイタリティが凄い。
藤川英樹
「そこからはアスリート寄りになっていきました。ギアも機能性に目が行くようになり、トレーニングを積んでだんだんと自分が強くなっていくのがまた楽しいんです。今まで走れなかった登りが走れるようになったりするのは気持ち良いものです。
でも、わき目もふらずやっているわけではなくって、仲間とおしゃべりしながら走ったりしますよ。『ブロッコリー』の渋谷店を任せているスタッフは、もともと走りながら親交を深めて、その人間性でスカウトしたんですよ」。
こうして2018年、南米チリで行われた「アタカマ砂漠マラソン」へと参加し、見事完走を果たす。ブッ飛んでいるが、それ以上にブッ飛んでいるのは、3週間の休暇をとって砂漠マラソンへと参加した経験から、自身のサロンに長期休暇を導入した点だ。
藤川英樹
お客さんには長期休業の前後に予約をお願いすることで夏場にも仕事のピークができた。1カ月の休みで経験したことが会話のネタになって盛り上がる。多少は売り上げが落ちたが、得られるメリットも大!
「チャレンジ&エクスペリエンス制度、略してC&E制度と呼んでいますが、2019年の夏に1カ月ほどお店を閉めました。完全にクローズはせず、スタッフが順番に1カ月の休みを取るということも考えましたが、それだと自分が休んでいる間もサロンのことを気にしてしまうかなと思ったんですよね。ならば思い切って一斉休業したほうが業界に対してインパクトもあるだろうと。
C&E制度と名づけたのは、スタッフには長期休暇中に何でもいいいので、いつもと違う経験を積んでもらいたかったから。2週間の休みを2回だと、やれることが想像の範囲に収まってしまいそうじゃないですか。だから1カ月にしたのですが、なかにはラオスに行って象使いの研修を受けたスタッフもいます。
C&E明けのスタッフの成長度合いが凄かったので、2020年以降も続けていく予定です。それもこれも、自分が海外のレースに出るために休暇を取りたかったのがきっかけなんですけどね(笑)」。
レースでの経験ももちろんだが、長期休暇をとって何かに挑戦するということ自体をスタッフにも経験してもらいたい。ランナーならではのアップデートされたチャレンジングな働き方改革だ。


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