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2019.07.03

あそぶ

ソロデビュー15周年のKREVA。その成長が奏でる音色とは?


知らなきゃ男が廃るが、知ってりゃ上がる。気にするべきは、顔のシワより脳のシワ。知的好奇心をあらゆる方向から刺激する、カルチャークロスインタビュー。



KREVA 1976年、神奈川県生まれ。2004年9月8日(クレバの日)に「音色」でソロメジャーデビュー。 1976年、神奈川県生まれ。2004年9月8日(クレバの日)に「音色」でソロメジャーデビュー。2ndアルバム『愛・自分博』でヒップホップのソロアーティストとして史上初となるオリコンウィークリーチャート初登場1位を獲得。6月30日(日)には日本武道館でワンマンライブを開催。


比類なき存在感を放つラッパーのKREVAが、ソロデビュー15周年を迎え、9カ月連続で作品をリリースしている。しかもデジタル、カセットテープ、7インチアナログ盤など毎月趣向を凝らしてのリリースで、そのアクションは音楽業界の垣根を越えて話題となっている。

「最初に言い出したのは俺です。今回の15周年プロジェクトには、大前提として以前に出した曲をバンド演奏で録り直したベストアルバム『成長の記録』があって、そこで録った曲をシングルで毎月リリースしていこうという考えが生まれたんです」。

同時に、リリース形態についてもこだわってはどうかというアイデアを聞き、「ソロではカセットも7インチのアナログ盤もやってこなかった」ということから、毎月異なる形態でのリリースに至った。

そして最新第6弾が『成長の記録』。タイトルからしてKREVAらしい。なぜなら彼は自他ともに認める“ミスター向上心”。いったい自分は15年でどれだけ“上”に昇ってこられたのか、その成長の軌跡を音として確認しようとする試みである。

「実はここ数年、バンド編成でライブをしています。バックがバンドだと、いつも同じ音を出してくれるDJとは違い、ドの音ひとつとっても楽器によって幅が微妙に異なる。そのなかで俺も自分のドを出し、歌うことになる。

すると歌唱に幅ができ、どんどんうまくなっていく感覚があるんです。実際、少し前に久保田利伸さんとフェスで共演したとき、“お前、歌うまくなったな”って言われて、これは間違いないなと(笑)。その成長をちゃんと作品として落とし込めたのが今作なんです」。

さらに新旧の曲が入った本作を聴くと、15年の間で言葉の使い方に変化が起きていることもわかる。「昔はいわゆる“ヒップホップゲーム”のなかで、俺自身がシーンを勝ち上がるためにリリックを書いていたけれど、2011年の大震災以降は言葉の選択が他者を意識したものになったというか。

みんなの心に響くような言葉を選び、ストーリーを意識して書くようになりましたね」と、ラップの肝といえる“放つ言葉”に深みが増したことを教えてくれた。

令和という新しい時代に、メジャーシーンに存在しうる稀代のラッパーとして円熟味を増すKREVA。それでも「今が頂点じゃ哀しいくらい。15周年を迎えられたから安泰なのではなく、もっと攻めの気持ちで上を目指していかないとね」と少しも満足した様子はない。

強い向上心は相変わらず。そこにラッパーとしての成長が絡むのだから、ここしばらくKREVAの無敵っぷりは続きそうである。


『成長の記録 〜全曲バンドで録り直し〜』

『成長の記録 〜全曲バンドで録り直し〜』/KREVA/ビクター KREVA/ビクター/2908円


ソロデビュー15周年を迎える9月8日(日)まで続く9カ月連続リリース第6弾。2004年のソロデビュー曲「音色」から、昨年リリースした「存在感」まで、15年のソロ活動で発表してきたKREVAの人気曲と名曲群をバンドサウンドで新たにスタジオレコーディングしたベストアルバム。


PAK OK SUN(CUBE)=写真 藤本大輔=スタイリング 結城 藍=ヘアメイク ジョー横溝=取材・文 トーガ ビリリース=衣装協力

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