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2018.11.06

あそぶ

コーヒーは果物である!世界を巡るコーヒーハンターの最終目的地とは?

連載「極上の豆を求めるコーヒーハンターの仕事」Vol.1
コーヒーは大人の飲み物だ。深い土色の液体には、芳醇な香りとコク、味わいの要素が複雑に絡み合って備わり、相応の理解力を求められるからだ。その奥深い世界にとりつかれた“コーヒーハンター”の仕事とは? 情熱が生み出す、極上のコーヒーとは!? 深すぎる思いと、美味しすぎる一杯との出会いを、しばしご堪能あれ。
最高のコーヒーを求めて、世界中を飛び回る「コーヒーハンター」という肩書きを持つ人がいるという。自らの足で僻地に乗り込み、農園を選び、畑を選び、樹を選ぶコーヒーのプロフェッショナルだとか。

話を聞いたのは、コーヒーのプロ集団、Mi Cafeto(ミカフェート)の中條真登さん。ミカフェートはコーヒーハンターJosé. 川島 良彰さんが代表を務める会社で、農園の開発、栽培技術指導のほか、都内に店舗を構えておいしいコーヒーを提供する。50カ国以上、2500を超えるコーヒー農園に関わっているという。
果たして彼らは何者なのか。ミカフェートの尋常ならざるこだわりと、世界中を飛び回るコーヒーハンターの仕事について教えてもらった。
 

苦くも渋くもない。コーヒーの「本来の姿」


「百聞は一見にしかず。まずは飲んでみてください」。
差し出されたのは一杯のコーヒー。見た目は、紅茶と見紛うくらい透き通っている。グアテマラで穫れた「Premier Cru Café サン セバスティアン農園 ビジャロボス」。一口すすり、その違いに愕然とする。甘いのだ。コーヒーの代名詞である渋みやえぐみは一切ない。
「コーヒーはそもそも果物です。未熟だと渋くて酸っぱいし、完熟すると甘い。私たちが収穫するのは、真っ赤に完熟したコーヒーチェリーのみ。完熟豆をすべて手摘みで収穫し、それぞれに適した精選を行います」。

果実味あふれる味わいは、むしろワインに近いかもしれない。完熟豆から生豆に精選されたコーヒーを日本に輸送する段階でも、ミカフェートでは品質管理を徹底している。
「一般的な場合、収穫したコーヒー豆はドライコンテナに入れて輸送します。しかしこの場合、コンテナの内部は60度以上の暑さになります。コーヒーはもともと果物であり、コーヒー豆は生ものですので当然劣化してしまいます。私たちが使用しているのは、常に18度に管理された『リーファーコンテナ』。さらには、麻袋の内側に特殊なプラスチック製の袋を入れて生豆を詰め、品質を保っています」。
そもそも完熟したコーヒーチェリーの糖度は、完熟メロンをも上回るとか。ビターな渋味こそコーヒーの醍醐味と思っていたが、それは未成熟であるための雑味に過ぎなかったのかもしれない。たった一杯で、世界観を変えられてしまった。


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