2021.05.09
FOOD&DRINK

秩父の酒が旨くて面白い。キーマンが仕掛ける3つの酒をはしご取材

自然豊かな観光地のイメージが強い埼玉県・秩父。

だがここ数年は、“酒どころ”として盛り上がりを見せているらしい。

実は秩父は、日本酒をはじめ、焼酎、ワイン、ウイスキー、ビールなどさまざまな酒が造られている全国でも有数の土地。そのポテンシャルの高さで、飲兵衛たちを秩父に惹きつけていたワケだ。

今すぐ出かけるのは難しくとも、近い将来、必ず飲み歩きが楽しめる日は訪れる。そんな来るべき日に備えて、酒の街、秩父の魅力をキーマン3人の証言から予習しておこう。

 

ウイスキー樽で仕込んだ“あの酒”が存在する

秩父の酒を語るうえで、まず忘れちゃならないのがウイスキーだ。というのも、秩父には世界に誇るウイスキーブランド、イチローズモルトの蒸留所があるから。

彼らのウイスキーは2017年から世界で最も権威のある品評会「ワールド・ウイスキー・アワード」で最高賞を4年連続受賞していて、海外にも多くのファンを持つ。

と、これは酒好きにとっての一般常識。ここからが、本題だ。

「秩父ブラン ピーテッドウイスキー樽熟成」4400円/兎田ワイナリー 0494-26-7173

秩父には、ウイスキーの産地ならではの珍しいワインが存在する。

もしも普通のワインと思って飲んだら、驚愕するに違いない。ひと口含んだ瞬間に、ウイスキーのようなピートの香りが鼻に抜けていく。イチローズモルトのウイスキー樽で熟成させることで、ワインにウイスキーの香りを移しているのだ。

ワインの生みの親である兎田ワイナリーの代表・深田和彦さんは、こう話す。

「海外では、大手ワイナリーでこうしたワインは製造されていて、最近注目を集める熟成方法でもあります。ただ、ウイスキー熟成後の樽を手に入れるのはとても大変で、日本でもなかなか手に入らない。近くにイチローズモルトの蒸留所があるこの土地だからこそ、完成したワインといえますね」。

秩父の酒の作り手たちが手を取り合うことで、新たな旨い酒が生まれる。それも、多様な酒を造る酒どころとしての魅力といえるだろう。

[スポット詳細]
兎田ワイナリー
住所:埼玉県秩父市下吉田3720
電話番号:0494-26-7173
https://chichibu-ff.com

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秩父では今、クラフトビールが面白い!

いまや全国各地で造られるようになったクラフトビール。秩父にも2017年にクラフトビールブランド「秩父麦酒」が誕生し、注目を集めている。

そんな秩父麦酒のビールをタップで常時約10種類用意するのが、クラフトビール専門店「まほろバル」。

「秩父麦酒の醸造所では、年間40種類ほどのクラフトビールを醸造しています。どれが飲めるかはその時季のお楽しみですが、秩父でしか飲めない面白いビールもありますよ」とまほろバルのオーナー、坪内純二さんはいう。

その言葉どおり、ラインナップを聞くと“味噌ポテト”や“宇治金時かき氷”など、ビールらしからぬ驚きの名が挙がる。そう、秩父のご当地グルメをイメージしたビールがあるのだ。

名前から判断するとやや攻めすぎな気もするが、いざ味わうと、さらに驚くことになる(いい意味で)。

3種類のクラフトビールを少しずつ楽しむことができる「飲み比べセット3種」。990円/まほろバル 0494-26-7303

例えば「しろくまレベル8 宇治ミルク金時ver.」は、確かに宇治金時かき氷の小豆の風味を感じるのだが、味わいは超ドライ。よくあるフレーバービールのように甘ったるくはなく、ビール本来の華やかなホップの香りもするから面白い。

「ビールを醸造するときの煮沸工程で、ホップを加えると同時に小豆を一緒に入れているので小豆の味がするドライなビールになると、秩父麦酒の社長から聞いています」。

秩父のご当地グルメを味わえる(?)ユニークなクラフトビール。気になるその味は、自分の舌で確かめてみてほしい。

[スポット詳細]
まほろバル
住所:埼玉県秩父市番場町17-14 秩父表参道Lab. 1F
電話番号:0494-26-7303
www.chichibu-lab.jp/index.php/shop/mahollobar/

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酒移住者が造る、世界古来の「ミード酒」って?

秩父が酒どころとして盛り上がるにつれ、酒造りのために移住する人も年々増加している。

秩父令和商会という土産店を営む工藤宏樹さんも、そんな“酒移住者”のひとり。約2年前に夫婦でミード酒を造るために秩父に越してきたという。……ところでミード酒って何?

「原料は蜂蜜と水だけ。蜂蜜を水で希釈して酵母菌で発酵させた酒をミード酒といいます」。

添加物や香料は一切不使用のシンプルな酒ゆえに、原料でかなり味が左右される。工藤さんは、もともと秩父に縁はなかったものの、都心へのアクセスが良く、水が美味しいという理由からこの地を移住先に選んだと、語る。

秩父令和商会ではミード酒が500円で試飲可能。

「ミード酒は世界最古の酒ともいわれ、古くはローマの英雄ジュリアス・シーザーやクレオパトラも愛飲していたという史実が残っています。実はハネムーンの語源にもなっていて、新婚夫婦が蜂蜜で酒を仕込んで飲んでいたことから、蜜月=ハニームーン(ハネムーン)というようになったんです」。

ミード酒のアルコール度数は8〜10%。度数だけ見ると日本酒やワインとさほど差がないが、蜂蜜の甘さが口内に広がり、後味はすっきりしているのでかなり飲みやすい。ハムやチーズなどの食材と相性が良く、イタリアンにペアリングするのもオススメだ。

現在、ミード酒造りをしながら秩父で暮らす工藤さんご家族。[左]工藤宏樹さん [右]我が子を抱く妻・エレナさん。

自然豊かな秩父で造られる、古くて新しいミード酒。この地で生まれる新たな酒と、いち早く出逢えるのも、酒どころ・秩父の面白さなのだ。

[スポット詳細]
秩父令和商会
住所:埼玉県秩父市野坂町1-20-38
公式ツイッター

掘れば掘るほど魅力的な酒が見つかる、酒どころ・秩父。市内だけで200軒以上の地域密着の酒場が近接し、コロナ後には、バー・ホッピングも思いっきり楽しめるだろう。酒好きは、ぜひ行きたいところリストに加えておいてほしい。

ちなみに、事前に地元飲食店の情報を知るには、秩父市が運営するスマホアプリ「ちちぶ乾杯共和国パスポート」の利用がオススメ。秩父の酒に関する情報も入手できるし、買い物や飲食でポイントを溜めることもできる。来るべき日のためにダウンロードしておこう。

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