日本屈指の高級ワインセラーが選ぶ、3400円均一の安旨ワイン3銘柄
「絶対に家飲みすべき安旨ワイン」とは……
寺田倉庫が運営するワイン好きのVIPたちご用達のワインセラー「TERRADA WINE STORAGE」。
国内最大級のワインセラーとして知られ、厳選されたインポーター 、酒販店のみが出店する「TERRADA WINE MARKET」には一流ワインがずらり。高いボトルは1本で300万〜400万円にも上る。
彼らが取り扱うのは3000円以上の秀逸なワインのみ。それ以下のワインは一切取り扱っていない。……となると、逆に気になるじゃないか。3000円以下のワインを紹介する本企画ではあるが、あえて聞こう。
「すみません、3000円に限りなく近い安旨ワインはどれですか?」。
話を聞いたのは……

①シャンパンにも負けない上質スパークリング

まず紹介してくれたのは、高級ワインが次々と生み出されるフランス・ブルゴーニュ生まれのスパークリングワイン。名前の長さからも、どことなく凄味が伝わってくるではないか。ちなみに今回セレクトしてくれたのは、すべて400円予算オーバーの3400円だ。
「白のスパークリングワインですが、原料はブルゴーニュの高級黒葡萄、ピノ・ノワールを贅沢に使用していて、製法もシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で1本ずつ丁寧に造られています。シトラスや洋梨の香りを主体に、黒葡萄に由来するベリーのアロマも感じるので、シャンパンと比較すると、よりフレッシュで爽やかな味わいが特徴的です」。
育ちの良さもあって、シャンパンに負けず劣らずの出来、というところか。むしろその口ぶりからは、シャンパンよりも飲みやすそうなニュアンスさえ伝わってくる。
「本当にバランスのいいスパークリングですね。乾杯の一杯だけでなく、ベリーの香りに合わせて、キール・ロワイヤルやシャンボール・ロワイヤルなどのベリー系リキュールをブレンドしたカクテルにしてみてはいかがでしょうか」。
くっ……オススメの飲み方までエレガントじゃないか。
②話題沸騰の新鋭生産者が造り出すNo.1アロマ

続いて提案いただいたのは、南イタリア・プーリア州の白ワイン。
「イタリアワインの見本市である『Vinitaly』やワインコンクールでも、ゴールドメダルや優秀賞を獲得するなど、今注目されている家族経営ワイナリーが造る一本です」。
イタリア各地のコンクールで多数の入賞歴を誇る家族経営の新鋭生産者、カリートロ。「ブドウの性質を理解し、ワインに耳を傾ける」という教えを守り、テロワールをしっかりと表現する手法に定評がある。
「ヴェルデカと呼ばれるイタリアならではの土着のブドウが使われています。メロン、パパイヤ、パイナップルなど凝縮されたフルーツのアロマが特徴で、ここまでアロマティックなワインは珍しいと言えるでしょう」。
安田さんがそこまで言うワインだからこそ、その芳潤なアロマを邪魔しないおつまみを選びたいが……
「ぜひ、クラッカーにクリームチーズとパイナップルやマンゴーなどのドライフルーツを添えてお召し上がりください」。
想像するだけでアロマの湖に溺れそう。これなら自宅でも簡単にマリアージュが楽しめるに違いない。ワインは冷蔵庫でしっかりと冷やすのが美味しく飲むコツとのこと。エチケットも美しく、SNS映えは確実だ。
③やれやれ、こいつぁ羊の皮を被った狼だ

最後にイチオシの1本として紹介してくれたのが、フランス・ボルドーで高級赤ワインを手がけるジャン・リュック・テュニュヴァン氏が造る赤ワイン。“自分のワインをもっと多くの人に楽しんでほしい”というコンセプトのもと誕生した、ワンランク上のデイリーワインだ。
「可愛らしい羊のラベルとは裏腹に、中身は本格的なフルボディの赤ワインです。凝縮したプラムやブラックベリー、バニラやカカオなどのアロマが特徴的で濃密な味わい。フルボディですが、メルロー由来の丸みのある味わいで渋い赤ワインが苦手な方もお楽しみいただけます」。
食事はハンバーグやビーフシチューと合わせるのがおすすめだそう。
ちなみに、ワインの名称である「バッド・ボーイ」とは、世界でもっとも影響力もあるワイン評論家のロバート・パーカー氏が生産者のテュニュヴァン氏をそう呼んだことから名付けられたそう。見た目は可愛くても中身は狼だ、ということを見抜いたのだろう。
残ったワインはアイスに! 隠し味は梅と大葉!?
前職では麻布十番のフレンチレストランでソムリエを務めていた安田さん。彼ならではの家飲みで活用できるアイデアを伺った。
「家飲みで余ったワインは、一度沸騰させてレモンやシロップ、ゼラチンを加え冷凍庫で凍らせると、簡単にグラニテ(シャーベット)にすることができます。おすすめは、刻んだ大葉と梅肉を加えた、大葉のグラニテ。ワインのおつまみにもぴったりです」。
これぞまさに、寺田倉庫が歩んできた、保管する「モノの価値」の創造から、モノが生みだす「余白の価値」の創造ではないだろうか。アイデアや捉え方ひとつで我々のワインライフはさらに豊かになる。
予算に400円上乗せして確かめてみても、きっと後悔はないはずだ。
絶対に家飲みすべき安旨ワイン
自宅時間の増加に比例して増える、家飲み時間。そのパフォーマンスを効率良く上げるため、名だたる業界人から愛飲する安旨ワインをヒアリング。ルールは3000円以下! それだけだ。
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七瀬あい=文