2020.05.03
FOOD&DRINK

13年連続、三ツ星獲得! 日本トップシェフが推す3000円以下の激旨ワイン3選

「絶対に家飲みすべき安旨ワイン」とは?

本場フランスで修行し、帰国後の2006年にレストラン「カンテサンス」をオープン。翌年、33歳という日本最年少の若さでミシュランガイドの三ツ星を獲得、以降、今日まで13年間連続で三ツ星を維持する天才シェフ……まるでマンガの主人公だが、実在する。名は岸田周三という。

グルメ好きなら彼を知らぬ人はいないだろう。昨年は木村拓哉主演ドラマ『グランメゾン東京』の料理監修を務め、ますます注目を集めた。そんな孤高の天才フレンチシェフが認めるデイリーワインとは?

話を聞いたのは……

岸田周三●フレンチレストラン「カンテサンス」オーナーシェフ。志摩観光ホテル「ラ・メール」でキャリアをスタート。2000年、渡仏。各地でミシュラン一ツ星から三ツ星まで数軒のレストランで修業。帰国後に「カンテサンス」を立ち上げ、現在、13年連続でミシュラン三ツ星を獲得。

 

①継ぎ足しで織りなす熟成感はまさに“鰻のタレ”

「エミリオ ルスタウ/パロ・コルタド ペニンシュラ」●ブドウ品種:パロミノフィノ、産地:スペイン アンダルシア州、市場価格:2000円前半

「僕自身はやはりフランスワインが好きなのですが、最近は価格が沸騰していて3000円以内というのはなかなかハードルが高いと思います。なので、少し視点を変えて、みなさんにオススメできるものをご提案させていただきます!」。

そう話す岸田さんが最初に挙げたのは、スペインのヘレス地区で生産されるシェリー酒。

フォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)の代表であるシェリー酒は、発酵の途中でブランデーなどの添加アルコールを加え、アルコール濃度を高めて発酵を止めることで幅広い個性的な味わいに仕上げられる。

一般的には口当たりがトロっとした甘口のものが多いイメージだが、発酵のどの段階で添加アルコールを加えるかによって甘口~辛口の味わいが決まるので、辛口ですっきりとしたものも多数あると岸田さんは言う。

「シェリーは古いものに新しいものを注ぎ足していく製法なので、まさに秘伝の“鰻のタレ”のようなイメージです。安価なものでも熟成感があり、飲みごたえがありますよ。エミリオ ルスタウはシェリー酒の中でもメジャーなメーカーなので、安定した品質と供給が得られます。特にこの一本はコストパフォーマンスが素晴らしい」。

岸田さんによると、シェリー酒はフレンチの調理酒としても活躍し、実際にカンテサンスの料理に使用することもあるそう。

「シェリー酒は飲むだけではなく、野菜に少し振りかけて風味づけをしたり、煮込み料理の最後の仕上げに入れてみたり、実に幅広い使い方ができる。そういう意味でも、ぜひ一度手に取ってみてほしいお酒ですね」。

ワインに対して調理用としても向き合う視点はまさにシェフならではだ。

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②ドラマでも登場したワイナリーのモデル

「ヴァン・ド・プレジール セレクション」●ヴィンテージ:2016、ブドウ品種:デラウェア、産地:北海道、価格:2200円

「ワイン好きの方には、ぜひ今以上に日本産ワインの素晴らしさを知ってほしい」。

岸田さんがそう思うきっかけとなったのが、北海道余市町にある平川ワイナリーとの出会いだった。ここのワインからインスピレーションを受けてメニューも開発し、その一品は『グランメゾン東京』でも採用されたという。

岸田さんがまずピックアップしたのは、デラウェアを使った白ワイン。

「日本ワインの中でもスタンダードな存在であるデラウェア種ですが、この『平川ヴァン・ド・プレジール セレクション』は、程よい甘さと爽やかなバランスを重視して仕上げた果実味豊かな口当たりに仕上がっています」。

色調は艶やかな黄金色。フルーツキャンディやマスカット、熟した杏のような豊かなフレーバーで優しい果実味を演出。まろやかさとフレッシュ感を併せ持った至高の一本。

しかもこの価格で心地良い後味と喜びを与えてくれるのだから、「3000円でお釣りはいらないよ」と言いたくなるレベルだ。

 

③ワイン通にこそ投げたい“変化球”

「ヴァン・ド・プリュンヌ セレクション」●ヴィンテージ:2017、ブドウ品種:梅、産地:北海道、価格:2200円

最後に岸田さんがイチオシするのは、先ほどに続き、北海道は平川ワイナリーの人気商品。なんとブドウではなく、厳選された北海道産の梅を原料にして生まれたフルーツワインである。

白い花のアロマと爽やかな酸の特徴を生かした果実感の溢れる味わいだが、岸田さんは「ワイン通にこそ飲んでほしい」と話す。

「シャルドネやブルゴーニュワインを飲み慣れている方は、価格グレードを少し抑えたものをデイリーワインとして購入した場合、やはりどこか物足りないと感じてしまうことが多いと思います。そんな方には、ブドウではない梅を原料とした、まったく別の土俵のワインをあえてオススメします!」。

北海道の気候、風土で育った梅を丹念に醸造したこのワイン。梅由来の酒と聞くと梅酒のような甘いものを連想しがちだが、果実味とフレッシュ感を残した、スッキリとした味わいだという。

数々の食通を唸らせてきた岸田さんによる画期的な提案だが、実は発売当初から知る人ぞ知る人気商品。このトップシェフから放たれた変化球、ありがたくキャッチさせていただこう。

ちなみに、飲み残したワインを料理に使う家庭も多いが、せっかくのチャンスなので岸田さんに「残ったワインを使ったアレンジ料理のアイディアはありますか」とうかがってみたところ……

「そういう質問をよくされるんですが、僕にとっては簡単な行程だと思ってお伝えしても、原材料が30種類くらい必要だったりするので、家庭向きではない難解なものになってしまうんです(苦笑)」。

……次元が違いすぎたのであった。

人気のあまり、数カ月先まで予約が取れない「カンテサンス」だが、現在は新型コロナウイルスの影響で休業中。再開したあかつきには、グラスシャンパーニュとして提供されている「アンリ・ジロー オマージュ・ア・フランソワ・エマール」で、優雅に平和を祝いたいものだ。

[取材協力]
カンテサンス
www.quintessence.jp

絶対に家飲みすべき安旨ワイン
自宅時間の増加に比例して増える、家飲み時間。そのパフォーマンスを効率良く上げるため、名だたる業界人から愛飲する安旨ワインをヒアリング。ルールは3000円以下! それだけだ。上に戻る

七瀬あい=取材・文

# カンテサンス# ワイン# 岸田周三
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